さまざまな窓口の活用を-体罰にあったら- <法律のツボ>
Q 体罰を巡るニュースを読むことが多いのですが、万が一、子どもが体罰にあったとしたら、どのように対応すればいいのでしょうか。
A 学校での体罰は学校教育法11条で禁止されています。スポーツのクラブなどでの体罰も指導の名の下に行われたものであったとしても、暴力にほかならず明確に違法です。「厳しい指導」と「体罰・暴力を伴う指導」はまったく異なるもので、体罰や暴力は、子どもの人権を侵害し、違法なものです。
体罰を受けた場合などの対応としては、教師や学校長、クラブの運営責任者らに対し、体罰の事実を申告し、調査・説明や改善要求を行うことが基本となります。これまで、スポーツ指導の中では、「熱心な指導」の名の下に、時に体罰が事実上容認されてきた環境があり・そうした環境の中では、申告すること自体が困難な面がありました。
しかし、高校の部活動の体罰事件や報道を通じて、体罰が許されないことが明確に認知されるようになっています。体罰防止に向けてのさまざまな取り組みも始まっており、積極的な対応が期待できる状況が生まれてきています。
直接、学校などに相談することが難しいと感じる場合、学校に改善する意識がないと思う場合には、各地の教育委員会や上部の競技団体への相談、通報という方法があります。
既に体罰やいじめなどについて、特別の相談窓口、専門家らを派遣する被害者救済システムやサポートチームを設けている教育委員会もあります。事実調査や改善指導のために弁護士などで構成する第三者委員会などを設置する取り組みも始まっています。
独立した第三者機関に救済を求める方法もあります。法務局の人権擁護委員や弁護士会の人権擁護委員会への救済申し立てなども可能です。兵庫県川西市のように、法的な調査・勧告・命令権限などが認められたオンブズパーソン制度のある自治体では、オンブズパーソンに救済を申し立てることも有効です。
大阪弁護士会では、「子どもの人権110番」(06・6364・6251、毎週水曜日午後3~5時、第2木曜日午後6~8時)を開設しています。子どもの人権問題に詳しい弁護士が待機し、いじめ、体罰、子どもの人権に関する法律相談を受け付けています。こうした窓口も活用してください。
〈回答・峯本耕治弁護士=(大阪弁護士会所属)〉
2013年4月6日 毎日新聞大阪版朝刊掲載