安全保障関連法案の衆議院強行採決に抗議し、廃案を求める会長声明
7月21日、安全保障関連法案の衆議院強行採決に抗議し、廃案を求める会長声明を発表しました。
【安全保障関連法案の衆議院強行採決に抗議し、廃案を求める会長声明】
安全保障関連法案(以下「法案」という。)は、本年7月15日に衆議院特別委員会で、16日には衆議院本会議で、それぞれ強行採決され、参議院に送付された。
この法案は、昨年7月1日の閣議決定による憲法第9条の解釈変更を受けて制定されようとしているが、憲法第96条による改正手続を経ないでこのような法律を制定することは、立憲主義及び憲法第9条に違反し、到底許されるものではない。
当会は、これまで、会長声明や意見書等でその問題性を明らかにして強く反対をしてきた。日本弁護士連合会や全国の弁護士会も、閣議決定の違憲性を指摘し、法案の成立に反対している。
本年6月4日の衆議院憲法審査会では、与党推薦も含めた3名の憲法学者が、法案は憲法違反であると指摘した。全国の大多数の憲法学者も、法案の違憲性を訴えて成立に反対している。
衆議院での審議が進むにつれて、法案の問題点が次々と明らかとなった。マスコミ各社の世論調査によれば、政府の説明は不十分であるという市民の声は次第に高くなり、現在では市民の約8割に達している。また、約6割の市民が今国会での法案成立に反対している。
そして、衆議院特別委員会では、安倍総理自身も、「まだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と答弁した。ところが、安倍総理の前記答弁の直後、与党は強行採決をしたのである。民意を無視し、国民主権を蹂躙するものと言わざるを得ない。
審議の舞台は参議院に移ったが、大多数の憲法学者が指摘するとおり、法案は違憲である以上、いくら議論を重ねても違憲性が治癒されることはない。した がって、法案は速やかに廃案とされるべきである。参議院における与党による再度の強行採決や60日ルールによる衆議院での再議決など決してなされてはならない。
当会は、法案の衆議院強行採決に断固抗議し、その速やかな廃案を強く求めるものである。
以上
2015年(平成27年)7月21日
大阪弁護士会
会長 松 葉 知 幸