「大阪弁護士会,特上カバチ!!に抗議」に抗議!!
そんな目くじら立てんでも・・・10日ほど前,大阪弁護士会がTBS系ドラマ『特上カバチ!!』に抗議したという記事をネットで読んでそう思った。
記事によると,大阪弁護士会は,行政書士が示談交渉をするなど行政書士に許された業務内容を明らかに超えたシーンがあった同ドラマは,弁護士法違反(非弁活動)を助長するとして,TBSに文書で抗議し,DVD販売や再放送の自粛を要望したという。
確かに,非弁活動が蔓延ることは,弁護士会にとって看過し難い事態であり,実際に非弁活動を行っている法人等はどんどん告発すべきだと思う。
しかし,フィクションに法的ツッコミを入れるのは如何なものか。
私は,思わず先月出演した日本テレビの『スクール革命!』(関東ローカル)の企画「マンガ&昔話 これって有罪」を思い出した。
同企画は,本村健太郎弁護士と私で,マンガや昔話に法的ツッコミを入れるというもの。
例えば,
- ①ドラえもん
「のび太くんがどこでもドアを使うと,そこには入浴中のしずかちゃん」
のび太くんには,住居侵入罪(刑法130条前段「正当な理由がないのに,人の住居・・・に侵入し・・・た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」)が成立。
のび太くんには常習性が認められるので,情状は最悪。しかし,そこには少年法の壁が・・・。
ちなみに,どこでもドアを貸して犯行を容易にしたドラえもんには,同罪の幇助犯が成立。どこでもドアは,刑法19条1項2号「犯罪の用に供し・・・た物」として没収される。
- ②巨人の星
「星飛馬の大リーグボール養成ギブス」
児童虐待の防止等に関する法律2条1号の「児童の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること」に当たり,児童虐待に該当。
発見した長屋の人達は,児童相談所に通告しなければならなかった(同法6条1項「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は,速やかに,これを市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」)。
「中学生なのに車を乗り回す飛馬のライバル花形満」
道路交通法違反(同法64条「何人も・・・公安委員会の運転免許を受けないで,・・・自動車・・・を運転してはならない。」)。
- ③天才バカボン
「市民に銃を乱射する本官」
殺人未遂罪(∵生命侵害の現実的危険性あり)。
- ④桃太郎
桃太郎を拾ったのに市町村長に届け出なかった,おじいさん・おばあさんは戸籍法違反(同法57条1項「棄児を発見した者・・・は,24時間以内にその旨を市町村長に申し出なければならない。」)。
桃太郎の鬼退治は,被害回復の緊急性がなく,自救行為の要件をみたさないため,強盗致傷罪が成立し,裁判員裁判対象事件に。
さらに,イヌ,サル,及びキジを,鬼という「人畜」にけしかけた桃太郎は,軽犯罪法1条30号(「人畜に対して,犬その他の動物をけしかけ・・・た者」)にも該当。
- ⑤金太郎
マサカリ担いで,銃刀法違反。
褌しか着用していないので,ポロリがあれば公然わいせつ。
てな具合である。
ドラマも然り。
例えば,2時間ドラマあるある。
時効成立5分前に岸壁で犯人を逮捕・・・したところで意味がない(時効成立までに公訴提起しなければならない)。
例えば,司法修習生のドラマ『ビギナー』。
私の同期に,ミムラや松雪泰子や奥菜恵のような女性修習生はいなかった(もたいまさこのような教官はいた)。これを言うと,同期の女性は,オダギリジョーや堤真一のような男性修習生もいなかったと反論するだろう(若人あきら改め我集院達也のような修習生は7組にいた)。
フィクションにツッコミを入れ出したらきりがないのである。
そんな目くじら立てんでもよろしやん。
「大阪弁護士会,ドラえもんに抗議。しずかちゃんの入浴シーンが犯罪を助長」
という記事がYAHOOニュースで流れる日も近い!?