お好み焼へのこだわり その2
前回の投稿の続きです。
前回の投稿といわれても1ヶ月以上前になりますから、覚えておられないと思いますが、http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/39/entry/470 です。
今回も独断と偏見に基づいてますので、異論のある方もご容赦を願います。
さて、前回は材料についてのこだわりを述べましたが、本当においしいお好み焼は材料では決まりません。「焼き」で決まります。
また「焼き」と同じくらい重要なのが「食べ方」です。
実は食べ方でおいしさに大きな差が出るのです。
まず、「焼き」ですが、これは焼き手の腕一つです。経験がすべてです。同じ店でも店長が焼いたのとバイトが焼いたのとではおいしさが全然違います。同じ材料でも焼き加減一つで味に雲泥の差が出ます。生地の量、キャベツの切り方などで焼き方も変わります。何度も失敗して自分好みの焼き方を身につけてください。
私はジャキッとしたキャベツの食感が少し残っていながらも、火はしっかりと通っていてキャベツの甘みが増幅されているのがベストだと思っています。
ですので、強めの火で比較的短い時間で焼いてしまいます。そのために生地も少量にしてます。店によっては弱火で何十分も焼く所がありますが、生地はふかふかになるのでしょうが、キャベツがへたってしまい私の好きな味にはなりません。
ひっくり返すときに失敗する方が多いですが、原因は2つあると思います。
一つは思い切りが足らず中折れになってしまうこと。最初のうちは、具がはみ出ようが油が飛び散ろうが、思い切り上に挙げて鉄板に叩きつけるぐらいのつもりでやった方が失敗しません。
もう一つは混ぜが足らないこと。生地はつなぎの役目を果たしますから、キャベツと具にちゃんと生地が絡まっていないと、絡まっていないところから割れて崩れます。
おいしく食べようと思えば、やはり鉄板が必要不可欠です。ホットプレートや普通のフライパンではてこが使えない時点で不可です。また、板に厚みがないため温度がなかなか一定せずうまく焼けません。
ちなみに、私が結婚して最初に買った調理器具がお好み焼用の鉄板でした。鉄の町三木市産の6㎜厚純鉄鉄板をネット通販で買いました。今でも愛用しています。
ただし、純鉄の鉄板は「しつけ」が必要です。そのままではとにかく材料がくっついて焦げ付きます。油を多めにしてひたすら焼きを繰り返す必要があります。たわしで水洗いしても、黒ずんで表面の金属的光沢が戻らない状態になればしつけは完了です。この状態になればちょっとやそっとでは焦げ付きません。毎日使うわけではなかったので、しつけるのに3~4年はかかりました。鉄板で作ってみようと思われる方はめげずに頑張ってください。
さて食べ方ですが、お皿に取って食べるのは論外です。
焼き上がったお好み焼をお皿の上にのせると、蒸気が上に抜けていかなくなり、すぐに底の部分からべちゃついてきます。せっかく、さくっ、ほろっと焼けたお好み焼の食感が台無しになってしまいます。昔のたこ焼きが木製の舟に入れられていたのにはちゃんと理由があるのです。
焼けたお好み焼は、火をトロ火にしてそのまま置いておくか、鉄板の端の方の温度の低いところで保温状態にしておくと、食感が損なわれません。また、その状態で10分くらい置いておくと、底がカリカリになってきて、また別の食感も味わえます。
次にお箸で食べるのも厳禁です。
お好み焼はてこで食べるべきです。
おいしいお好み焼は、ふわっ、さくっ、ほろっ、その他いろんな食感で表現されますが、例外なく柔らかいです。豆腐と一緒で簡単に箸で持ち上げられるような代物ではありません。そのため、お箸で持つとまず間違いなくお好み焼を破壊してしまいます。食べ物の形状がおいしさを左右することは料理では常識ですよね。破壊されたお好み焼きが元のおいしさを保っているはずがありません。
お好み焼屋に行くと、皿に取って冷めてべちゃっとなったお好み焼を、お箸で破壊し分解した上で集めて食べている人をよく見かけますが、焼き手に対する冒涜としか言いようがありません。
なお、てこで食べるときは、一口分を鉄板の上で切り取って、てこの角の部分に乗せ、角を口の中に入れるようにして食べます。熱いですがたこ焼きと同様に、はふはふほふほふして食べてください。決して縦や真横から食べては行けません。縦や真横からてこが口にはいるのは、ミック・ジャガーかスティーブン・タイラーぐらいです。
大きめに切り取ったお好み焼をてこの上に乗せ、上前歯でこそげるように食べることを薦める方もいます。成功すればおいしい食べ方だと思いますが、慣れないと上前歯の裏側の歯茎をやけどしますし、てこからお好み焼きが落ちやすいので、私はお奨めしません。
それから、マヨネーズは最初からかけてはいけません。
マヨネーズを最初からかけるのは、鶏の唐揚げに有無を言わさずレモンを搾るのと同じです。ノーマルのソース味とマヨネーズがけの二通りの味を楽しめる機会をわざわざ放棄するのは理解に苦しみます。
以上が、私の「お好み」焼へのこだわりです。
ぜひとも、皆さんもご自分の「お好み」焼を見つけてください。