裁判用語
以前、市民法律相談にて、民事訴訟で訴えられた方の相談がありました。
話を聞くと、訴えられたこと自体にも不満なのですが、それだけじゃなく、なぜ私が被告と呼ばれなければならないのか、という不満もあるようでした。
ご存知の方も多いと思うのですが、民事訴訟においては訴える方を「原告」、訴えられる方を「被告」と呼びます。これに対し、刑事事件においては、裁判を受ける人を「被告人」と呼びます。
民事事件の原告被告は形式的な用語の問題で、特に良い悪いの価値判断は入っていませんが、マスコミにおいて刑事事件の被告人を「被告」と報道することもあってか、どうしても被告と言うと刑事事件のイメージがあり、いい感情を持たないようです。
なぜマスコミが「被告人」を「被告」と呼んでいるかは諸説がありますが、最近は刑事事件においても「被告」という呼び方が浸透しすぎて(!?)、先日、刑事事件の法廷において、「被告は前へ」とおっしゃっていた裁判官もおられました。ますます一般の方には分かりにくいかもしれません。
また、訴状には第1回目の期日がいついつですよ、と記載された期日呼出状という書面が同封されており、○月○日に「出頭」して下さいといった記載がなされています。
これについても、「出頭」という言い方はいかがなものか、とおっしゃっていました。当職が、訴える方も「出頭」なんですけどね、と言うと、「へえ、そうなんですか」との反応でした。裁判所は役所なので、そういう言い方をするんですね。
同じような話で、訴状に記載されている、「~を支払え」「~をせよ」との記載(請求の趣旨といって、訴状には求める判決の内容を書きます)がえらそうで気に入らないとおっしゃった方もおられました。
訴状の記載は、裁判所に対してこういう判決を言渡して下さい、というものなので、裁判所が言渡す内容として「~を支払え」との判決を求める、という書き方をするのですが、訴えられた方から見ると、訴える方から訴えられる方に対して、えらそうに~を支払え!と言っているように見えるのかもしれません(もちろん実際にそういうニュアンスがあることもありますが(笑))。
以前、調停を申立てた際に、申立書の記載を訴状と同じ形で書いたところ、調停委員から、相手方の気持ちもあるのでもう少しマイルドな表現にしてもらった方がよかったかも、と言われたことがあります。確かに、調停は双方が合意に至るために話し合う場であり、判決を求める手続とは異なるので、なるほどそういうものかと思い、以後、調停の時は多少気を遣ったり(?)しています。
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