Q 小学2年と中学1年の子ども2人を育てる知人の女性が離婚を考えています。今後、養育費はどのようにして請求したらいいのでしょうか。仮に、養育費の支払いが滞った場合は、どのように対応したらいいのでしょうか。注意点と対策を教えてください。

 

 

A 2人の子どもを育てていくとなれば、かなりのお金が必要になりますので、養育費はとても大切ですね。

養育費の話し合いについては、夫と離婚の合意をして離婚届を役所に提出してからでも法律的には遅くはありません。

 

ただ、離婚をした後に養育費の話し合いをするとなると、元夫が積極的に話し合いに応じてくれないことも考えられます。

すると、ずるずると時間だけが過ぎ、なかなか養育費のことが決まらないということにもなりかねません。

 

そうした事態を防ぐためにも「とにかく早く離婚したい」という特別な事情がない限り、離婚の話し合いの際に養育費のこともきちんと話し合っておいた方が良いでしょう。

離婚の話し合いが当事者間だけでまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができますが、養育費についてはその調停の中でも話し合うことができますよ。

 

現在の家庭裁判所の実務では、養育費の額を決める際に「養育費算定表」というものが参考にされています。この算定表に基づくと、残念ながら、あまり十分な額の養育費とならないことが多いです。

 

たとえば、その知人の女性の年収が100万円で、元夫の年収が500万円の場合、小学2年と中学1年の子ども2人分の養育費の基準とされる額は月額6万~8万円ぐらいにしかなりません。

ただ、養育費を全くもらわないよりは、だいぶ生活費の足しになりますね。

 

さて、一旦取り決めた養育費の支払いが滞ってしまうケースも残念ながらしばしば見かけられます。この場合、調停で養育費を決めていた時や、公正証書を作っていた時は、元夫の給料などを差し押さえることができます。その意味で養育費を取り決める段階から将来に支払いが滞る可能性があることを見据え、調停で取り決めるか、または公正証書を作っておいた方がよいでしょう。

 

なお、離婚前に夫と別居する場合は、離婚が成立するまでの期間養育費や生活費について請求(婚姻費用分担請求)をすることができます。

 

〈回答・下迫田浩司弁護士(大阪弁護士会所属)〉

                           2013年4月27日 毎日新聞大阪版朝刊掲載

 

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