所有駐車場に見知らぬ車 どのような対処をすれば-<法律のツボ>
撤去せず、まずは警察に通報
Q.私が所有する屋外駐車場にここ数日、見知らぬ車が止まり続けています。車の中には誰もいないし、持ち主も分かりません。こちらで勝手に処分してもよいものなのでしょうか。どう対処したらいいのでしょう。
A.勝手に処分すべきではありません。司法手続きによらずに権利回復すること(自力救済)は認められていません。また、いきなり車を撤去したり、動かせなくしたりした場合、車が傷ついたなどの理由で持ち主から損害賠償請求される可能性がありますので、これもお勧めできません。
放置車両が盗難車や犯罪に使われた車であるとも考えられるので、まずは最寄りの警察署に相談すべきです。運転者や持ち主が判明し、警察官による指導や撤去がなされることがあります。
他に、運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車協会)にナンバーを照会して登録事項等証明書を交付してもらい、持ち主を割り出す方法があります。
ただし、証明書に記載されている所有者が実際とは異なるケースもあります。持ち主が分からない時などは、民法239条1項の規定に墓づき、持ち主のいない車としてあなたに所有権を移したうえで、撤去できます。
さて、持ち主が分かった場合の対応ですが、連絡を取って車の撤去を求めてください。こちらの要求に応じなければ、駐車場の所有権に基づいて妨害排除請求の裁判を起こすことになります。車が土地を不法に占拠していますので、損害賠償の請求も可能です。裁判で勝訴しても、それで終わりではありません。
判決後の強制執行手続きを経て、撤去できます。もっとも持ち主が車を使用している人ではなく、自動車ローンの信販会社であるような場合、残ローン支払期間が過ぎない限り、所有者に撤去を求めることはできません(2009年3月12日最高裁判決)。
また、裁判を起こすにあたっては、不法駐車の開始時期や継続している状態などを明らかにするため、日付の分かる写真などで証拠を残しておきましょう。手続きが複雑だと思われる方は、弁護士などの専門家に相談してください。
いずれにしても、このようなことにならないよう、あらかじめ対処しておくことが大事です。自分の駐車場に他人が勝手に入らないようにしっかり管理しておきましょう。
<回答・西澤真介弁護士(大阪弁護士会所属)>
2013年11月9日 毎日新聞大阪版朝刊掲載
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