外国の方が困っていたら・・・
最近,電車の中などで外国からの観光客と思われる方々を見かけることが多くなりました。それもそのはず,日本政府観光局の公表している統計によると,2011年の訪日外客数は累計で6,218,752人であったのに対し,2014年は13,413,600人であり,この3年で2倍以上に増えているそうです。
そのことと関係があるかは不明ですが,私も弁護士として,帰化申請や在留資格に関する相談のほか,外国籍の方の一般的な法律相談を受けることがよくあります。
外国に住むということは,ただでさえ言葉や生活習慣の違いに適応するのが大変だと思われますが,何かトラブルが起こったときに,どこに相談したらよいかがまず分からない,という問題も大きいのではないかと思います。
日本酒の世界進出における弁護士の役割について
昨日,三連休最後の文化の日に,「神戸どうぶつ王国」に妻と子供と一緒に遊びに行った帰り,灘の酒蔵「神戸酒心館」にある料亭「さかばやし」を訪れました。JR石屋川駅から徒歩圏内と,まずまずアクセスしやすい場所にあり,日本酒3種飲み比べに懐石料理を頂いて,大人1人5000円程度と,コストパフォーマンスも良く,かなりお勧めです。
日本酒3種飲み比べは,大吟醸から始まり,純米酒,最後は純米生酒と,ちょうど料理の進行にあわせて徐々に風味豊かなものが出てくるようになっており,さすが蔵元が運営している料亭,と感銘を受けました。
ところで,国税庁が公表しているデータによれば,昨年の日本酒の輸出額は105億2400万円で,10年前に比べて約2.7倍に増えているそうです。
昨年,安倍首相は,ロシアのプーチン大統領の誕生日に日本酒「獺祭」とぐい飲みを贈ったそうですが,「獺祭」の蔵元である山口県の旭酒造は,世界17か国,500以上のレストランに製品を販売しており,同社の生産量は10年前の10倍に上っているとのこと。
青森出張に行ってきました
先日,「NPO法人あおもりIT活用サポートセンター」という法人からお招きを受け,青森県弘前市で著作権法に関する講演をさせて頂く機会に恵まれました。
講演のテーマは,「電子書籍と著作権~基礎から実務上の注意点まで~」というもので,座学で学んだあと,参加者が実際に「りんごの教科書」という電子書籍をその場で作ってみる,というワークショップが開催されました。この「りんごの教科書」というのは,青森の名産品であるりんごに関する知識を,子どもたちに学んでもらうための教材,というコンセプトです。私も,参加者に交じって電子書籍を作る作業を行ったのですが,
①インターネット上のホームページで見つけた,りんごの生産量などのデータを使用する場合,ホームページ作成者の許可が必要か,
②りんごの原産国や,青森でりんごが栽培されるようになった経緯などを本で調べたが,出典を明記する必要があるか,
③りんごの皮を超高速で剥く様子を撮影した面白い動画をYoutubeで見つけたが,電子書籍の中に,この動画に対するリンクを貼ってもOKか,
起業と弁護士
政府は,起業する人に年間650万円の生活費を最長2年間支給する制度を今年度中に始める,と報道されています。
私は,弁護士として,起業した人やこれから起業しようとする人と知り合うことがよくあるのですが,上のニュースに対する,既に起業した人の反応の多くは,「自分でリスクをとる覚悟のない人が起業なんかしても成功するわけがない」というものです。
確かにそうかもしれない,と思う反面,家庭の事情などにより,収入がゼロになるリスクはとれないけれども,優れたアイデアと,そのアイデアを実行に移す行動力を持っている人というのも,世の中に一定数存在するのではないかと思います。
自炊代行サービス違法判決に思うこと
9月30日に東京地方裁判所で,「自炊代行」と呼ばれるサービスを著作権侵害とする判決が下されました。
この判決で問題になった「自炊代行」サービスは,①利用者がサービス提供者に紙の書籍を送付し,②サービス提供者がこれを裁断し,スキャナで読み取って電子化した上でサーバにデータをアップロードし,③利用者がサーバからデータをダウンロードする,というものでした。
このサービスは,紙の本をスキャナで読み取って,いわば自作の電子書籍を作成することで,収納スペースを節約したり,気軽に本を持ち歩いたりできるようにするものでした。自分で本を裁断してスキャナで読み取る作業をするのは大変なので,1冊あたり数百円を支払っても,このような作業を外注したい人は多かったようです。
この訴訟では,著作物である書籍を「複製」しているのは利用者か,それともサービス提供者か,という点が争点となっていました。というのも,著作権法30条1項は,個人的・家庭的に使用する場合や,これに準ずる限られた範囲内で使用する場合には,使用する本人が著作物を複製することを適法と認めているからです。