2015年9月29日 (火)

正当性の否定

前回に続いて「正当性」について論じたいと思います。

 

今回の安保法案成立に至る過程で感じることは、国家権力の「正当性の欠如」です。

 

日本の安全保障のためには集団的自衛権及び集団的自衛権を担保する法整備が「必要」だとする論議と、憲法違反の疑いが強い法案を通すことは立憲主義の根幹を揺るがすことになりかねないのでそのような法案成立は「許容」できないとする論議の対立でした。

 

必要性論議と許容性論議は次元が異なるものなので、その論議の対立は平行線をたどるしかなく、それぞれを分けて論じることが必要です。

 

ただ、こうした、必要性論議と許容性論議を「あえて」平行線で論じることは政治の世界ではありがちなことなので(法律家としてはあってはいけませんが)、そのこと自体に特に驚きはしませんでした。

 

しかしながら、必要性論議の中で、「憲法の前に国家がある」論が、事実上、公然と語られていたことには驚きを感じました。

 

2015年9月10日 (木)

中国法律事情あれこれ

最近、事務所に中国人律師の先生が留学に来られ、折に触れて中国の法律事情を教えてくださいます。

今回はいくつか面白かったものをご紹介したいと思います。

 

●中国での不倫

中国でも婚姻関係にある男女の一方が浮気をした場合、損害賠償の請求をすることができるそうなのですが、その慰謝料は日本に比べて随分安いそうで、日本円にして20万~30万円だとか。物価の違いもあるでしょうし、結局はケースバイケースなのでしょうが、意外だな、という印象を受けました。

 

●中国での死刑

中国での死刑は銃殺と薬殺の2種類。てっきり選べるのかと思いきやそうではないらしく、経済的に裕福な地域では薬殺、そうではない地域では銃殺が用いられているとのこと。

理由を尋ねると、「銃弾は1発1元だが薬殺はその何百倍も費用がかかるから。」だそう…おお…。

中国では年間約数千人について死刑が執行されているとも言われていますので、費用のことを気にするのもやむを得ないのかもしれません。

 

●中国における土地

46期の大久保です。先日、中学の同窓会に行って楽しかったので、そのことを書こうかとも思ったのですが、東芝の不適切会計事件に思うところがあり、そちらを書くことにします。
報道によれば、東芝は、2008年4月から14年12月まで、総額約1500億円にのぼる利益水増しをしていたとのこと。
そのような利益水増しは、無理な経営計画が原因と思われます。
問題の調査にあたった第三者委員会は、当時の経営陣の、「チャレンジ」と称して3日で120億円の営業損益を改善するよう指示するなどの行為が、不正会計につながったと指摘しています。
東芝は、民間企業ですから、利益を追求すること自体は当然のことで、経営陣が事業部門の責任者に対し、営業損益を改善することを求めることも、いわば当然のことです。ただその要求が、実現可能なものであればよかったのですが、3日で120億円の改善は明らかに無理なものでした。そのような無理な要求を突き付けられた事業部門の責任者は、数字をごまかすことにより対処するしかなかったのでしょう。

このように、トップから数値の面で改善要求がなされ、数字上でのごまかしにより、達成されたように見せかけることは、これまでにもしばしば行われてきました。
ちょうど1年前の7月のことですが、以下のような報道がありました。

2015年7月21日 (火)

寡婦(寡夫)控除

 ‐あらすじ‐
 所得税の所得控除の一つである寡婦控除は,いわゆる「非婚の母」に適用されないため不合理な差別ではないかという問題があり,日本弁護士連合会も,この問題に関する要望や意見書を提出しています。
 しかしながら,寡婦控除には「非婚の母」に関する問題の他にも問題点があり,それらの問題の解決方法としては,基礎控除と扶養控除などの基礎的な人的控除の額を引き上げることも考えられるのではないでしょうか。

 

 

 ‐目次‐
1 寡婦控除とは
2 いわゆる「非婚の母」の不利益
3 寡婦控除に関する他の問題点
4 問題の解決方法

 

 

1  寡婦控除とは

読者のみなさん、こんにちは。

弁護士の西塚直之です。

 

私自身、電話勧誘や訪問勧誘がとても嫌いです。迷惑このうえないと思っています。

家でくつろいでいるときにインターホン鳴らされたときの不快感と言ったら。。。

 

私みたいな考えは少数派かと思っていたら、先日、消費者庁が行った「消費者の訪問勧誘・電話勧誘・FAX勧誘に関する意識調査」の結果が公表され、回答者のうち訪問勧誘で96.2%、電話勧誘で96.4%が、今後、勧誘を「全く受けたくない」と答えたそうです。

有効回答数が2000人ですので、「日本人の一部がそう言っているにすぎない。」と強弁することは許されない数字です。

 

日本では、電話勧誘や訪問勧誘について再勧誘の禁止はありますが、そもそも勧誘を規制する法律はありません。

 

しかし、海外では電話勧誘や訪問勧誘について規制する制度があります。

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