ターミナルでの撮影はプライバシー侵害? (2014年7月19日掲載)

Q. 先日、あるターミナル駅で、通行人の動画を撮影し、どういったルートを歩くのかを追跡するとの計画が発表されました。駅に大量のカメラを設置し、人の流れを分析して災害時に大混乱に陥らないよう役立てる目的らしいですが、監視されているようで不安があります。これはプライバシーの侵害には当たらないのですか?

■プライバシー侵害の可能性

A. プライバシー侵害に当たる可能性があります。昨今、駅やコンビニ、公道などに多くの監視カメラが設置されています。こうした監視カメラの設置が許されるかが問題になった裁判例として、1994年4月27日の大阪地裁判決があります。

この判決は、監視カメラの設置・使用にあたっては
① 目的が正当である② 客観的かつ具体的な必要性がある③ 設置状況が妥当である④ 設置及び使用による効果がある⑤ 使用方法が相当である--ことなどが検討されるべきと判断しました。
そして、この5要件に留意しつつ、各監視カメラがプライバシー権を侵害していないか検討すべきとしています。

ご相談の件は、「人の流れを分析して災害時に大混乱に陥らないよう役立てる目的」とのことですね。しかし、通常時の人の流れを分析することが、なぜ災害時の混乱防止に役立つのか分かりにくいです。目的の正当性や設置の必要性、効果には疑問があります。また、プライバシーに対する脅威は大きいと言えます。
なぜなら、最近は撮影映像の制度が飛躍的に向上し、映像の分析技術も発達しているからです。撮影した映像からその人を識別することもできるようになっているとのことです。ご相談の件も、こうした技術を前提にしているものと思われます。

たとえ駅という公の場であっても、通常は偶然かつ一過性の視線にさらされるだけであって、継続的に監視されたり備考されたりすることを予測して行動しません。映像分析技術を用いて追跡することは、こうした期待を裏切るものと言えるでしょう。映像や分析結果を誰がどのように管理するか、確実に削除されるのか否かなど、他にも検討すべき事柄が少なくありません。
このように、ご相談の件は目的や効果が薄弱な一方、プライバシーに対する脅威は大きいので、プライバシーを侵害するものと評価される可能性があります。

<回答・石橋徹也弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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