戸籍がない20歳 母と知人の子 出生届出せず (2014年9月20日掲載)

Q. 私は20歳の女性です。私には戸籍がありません。母は私が生まれる前、Aという男性と結婚していましたが、Aから暴力を受けたため別居しました。まもなく私の父と知り合い、私が生まれたのです。民法の規定では、私は戸籍上Aの娘になってしまうそうで、母はずっと出生届が出せないでいます。母を恨んではいません。でも戸籍がないので、満足な仕事にも就けず、結婚もできません。どうにかならないのですか。

■親子関係の調停を

A. あなたの母親とAは、現在なお戸籍上夫婦ということですので、母親があなたの出生届を出しますと、妻が婚姻中に懐胎した子であることからAの子と推定され、その旨戸籍に記載されてしまいます。というより、Aと母親の戸籍以外にあなたが入る戸籍はないのです。
 今、社会問題になっている「無戸籍児」は多くの場合、実母と従前の夫が離婚しているケースです。その場合でも、「離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子と推定する」と定めた民法の規定が壁になるのです。いずれにせよ、こうした場合には裁判例からすると、「妻が子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、または遠隔地に居住して夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情」が必要です。ご相談のケースは、母親がAとの別居の後、あなたの実父と知り合ったというのですから、かろうじてこの要件をクリアできるものと考えます。
 一方、母親はAとの間で離婚協議すらできないようですので、今後いろいろな手続きを進めるためには、まず弁護士に委任して離婚を成立させることが望まれます。その交渉の中で、あなたとAとの間で親子関係不存在確認調停に協力してもらえるか、話し合うことが必要だと思います。
 仮に、Aからの協力が得られない場合には、残された方法としては、実父に対して「あなたが実父の子であることを認知する」旨の認知調停を申し立てる手段があります。実父との間で合意が成立するなどの要件が満たされ、裁判所がその合意を正当と判断すれば、申し立て内容を認める裁判がされることになります。その後、実際に戸籍に記載されるには複雑な手続きを踏みますが、上記調停のいずれかを成立させることが肝要です。 

<回答・森野俊彦弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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