監視カメラ画像 公開は 万引き抑止に使いたい (2014年10月25日掲載)

Q. 私は書店の経営者です。最近、万引き被害に困っています。先月に監視カメラをつけたのですが、抑止効果はなく、被害が止まりません。カメラには犯人の顔がはっきり映った画像があるので、これを店に貼りだして「万引き犯は顔を公開します」と警告し、被害を止めたいと考えています。目のところに線を入れれば、プライバシー侵害もクリアされると思っていますが、どうでしょうか。

■プライバシー侵害や名誉毀損に

A. 万引き犯に対し、あなたと同様の対処をしようとしたケースがあります。おもちゃを盗まれた東京の古書店が、防犯カメラに映った犯人の顔を公開するとインターネット上で警告し、議論を呼びました。
 一般的に、万引き犯であっても顔の画像を公開すれば、プライバシー侵害や名誉毀損に当たります。現在社会において、犯罪の処罰権限は国が持っており、私的な制裁や自力救済は禁止されています。いくら店が被害者であるとはいっても、万引き犯の顔を公開して社会的な罰を与えようとすれば、逆に万引き犯に訴えられ、慰謝料を支払わされる恐れがあります。
 また、「盗んだものを返さなければ顔を公開する」との警告は脅迫になるため、恐喝罪や強要罪が成立する可能性もあります。
 では、顔に目線を入れればプライバシー侵害や名誉殴損の問題がクリアされるのでしょうか。目線を入れたとしても、髪形や顔の輪郭、服装などの特徴から人物が特定されることもあります。そうした画像を公開するのは「分かる人には分かる」という抑止効果を期待してのことでしょうから、ただ目線を入れれば大丈夫というものでもありません。
 他に店の自衛手段としては、防犯タグの活用、店員や警備員の巡回強化が考えられます。防犯カメラの画像については、警察に被害届を出す際の証拠として提出したり、要注意人物として店員や警備員に周知する資料として使ったりするのが限界でしょう。
 冒頭で話題にした東京の古書店は結局、ネット上の公開を取りやめました。その後、警察の捜査で万引きしたとされる人が特定され、逮捕・起訴されています。 

<回答・結城圭一弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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