有名人が来店、フェイスブックに投稿 (2014年11月29日掲載)

Q. 私は空港の雑貨店の店員なのですが、軽率なことをしてしまいました。先月、俳優のAが若い女性と一緒に来店し、Tシャツを買っていったのです。サングラスをしてお忍び旅行っぽい感じでしたが、私はすぐに気付きました。カード決済だったので、Aが署名したレシートをスマートフォンで撮影し、自分のフェイスブックに「今日、Aが女と店に来たよ」って投稿してしまったのです。すぐにAの所属事務所から店に抗議があり、騒ぎになっています。これからどうなるのでしょうか。

■カード決済のレシート撮影 慰謝料支払い義務

A. 自分の働いている店に有名人が訪れた時、つい写真を撮ったり、誰かに話したくなったりするものですよね。しかし、友人や知り合いに話す感覚そのままにフェイスブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に書き込むと、トラブルになることもあるので注意が必要です。こうしたSNSへの書き込みや写真の投稿が、直ちに何らかの法律に触れるわけではありません。店が管理している顧客データのような情報ならともかく、ふらりと店に立ち寄った客が有名人だったことを外部に漏らしたとしても、個人情報保護法違反にはならないのです。
 その一方、プライバシーや肖像権の問題があります。それが法的に保護しなければならないほどに大きなものであれば慰謝料の支払い義務が生じます。ただ、これは個別の事情によります。有名人は世間に顔が知られており、その行動も注目されやすく、うわさされてもある程度はやむを得ないという特殊事情がありますので、一般人とは異なった判断になると思われます。
 今回のケースであれば、俳優Aが若い女性と一緒に来店したことをフェイスブックに書き込んだだけなら、あなたや店が法的な慰謝料の支払い義務を負うことは考えにくいでしょう。しかし、カード決済のレシート写真を投稿したことは重要なプライバシーを漏らしたと判断され、慰謝料の支払い義務を負う可能性は否定できません。
 今後のことですが、あなたと店がAに謝罪して慰謝料を支払うとともに、あなたは店から減給や休職などの何らかのペナルティーを受けることになっても仕方ないと思われます。SNSを利用する場合には、友人や知人以外にも見られるものであるという意識を忘れないようにしましょう。

<回答・結城圭一弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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