行方不明の両親の不動産処分 (2015年2月7日掲載)

Q. 4年前、両親が災害に遭い、今も行方不明のままです。両親はいくつか不動産を所有しており、その固定資産税や維持費用は私が肩代わりしてきました。ただ、その負担も年々、重くなっています。不動産を処分したいと考えていますが、名義は両親のままなのでどうにもできません。どうにかならないのでしょうか。

■「失踪宣告」申し立て 自身が相続し可能に

A. ご両親の安否が長らく分からないままで、精神的にも不安な日々を過ごされているのではないでしょうか。
 さて、民法には「失踪宣告」という制度があります。これは、行方不明になって生死の確認ができない人について、死亡したものとして取り扱うための手続きです。通常、失踪宣告が認められるには、行方不明などで生死が分からない状態が7年間続いていることが必要となります。ただし、災害や船舶の沈没などの場合はその危難が去ってから1年間でよいとされています。
 このため、ご相談の件につきましても、失踪宣告の申し立てができると考えられます。申し立ては、ご両親の住所を管轄する家庭裁判所にします。裁判所が認めて失踪宣告がなされると、災害終了時点をもって、ご両親は法律上、死亡したものとみなされます。その後、ご両親の財産を遺産分割協議のうえ相続すれば、不動産を自らの財産として処分することが可能になります。
 ところで、2011年3月11日に発生した東日本大震災の行方不明者については、死亡診断書に代えて家族の陳述書などを市町村役場に提出すれば、死亡届が受理されます。失踪宣告の申し立てをしなくても、遺産を相続することができます。
 安否が分からないのに死亡を前提とした手続きを進めることには、いささかの抵抗があるかもしれません。しかしながら、ご自身が生活していくために必要なことであれば、ご両親にもきっとご理解していただけるのではないでしょうか。
 なお、失踪宣告後にご両親の生存が確認された場合、失踪宣告は取り消すことができます。宣告による効果もさかのぼってなくなります。また、死亡届の提出をした場合についても、同様に戸籍の訂正をすることができます。

<回答・小仲真介弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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