姉の子が200万円勝手に遊興費に (2015年2月14日掲載)

Q. 姉夫婦が海外へ転勤になったので、大学生である姉の子を預かっています。ところが、その子が私の家の金庫から200万円を勝手に持ち出してしまったのです。気付いた時には、遊び仲間と全額を使い果たしていました。身内の犯罪とはいえ、警察に通報すべきでしょうか。姉夫婦に弁償してもらうことはできますか?

■未成年なら親に賠償責任も 同居の親族、刑免除

A. 親族がお金を勝手に使うので取り返してほしい、被害届を出したいといった相談を受けることはあります。
 まず刑事上の責任について説明します。金庫の中からお金を持ち出し、それを遊興費に使うという行為は、刑法235条の窃盗罪が成立します。しかし、刑法244条1項には、同居の親族間の窃盗は刑を免除すると定められています。いわゆる「法は家庭に入らず」という思想を反映した規定です。今回の場合も、仮に警察に通報したとしても、「家庭の問題だから、家庭で解決してください」と言われるのではないでしょうか。
 ただし、姉の子の遊び仲間は別です。刑法244条3項には、親族ではない共犯は刑の免除規定は適用されないと記されています。もし、金を窃取するよう姉の子を唆したり、グルになって金を盗んだりしたような場合は、家庭の範囲外のことでもありますので、遊び仲間は刑事上の責任を問われる可能性があります。
 次に、民事上の責任についてです。果たして、姉夫婦に200万円を返すよう求めることができるのでしょうか。        
 判例によれば、姉の子が未成年者であれば、親権者である姉夫婦に監督義務違反がある場合、姉夫婦に損害賠償責任が発生する可能性があります。姉の子が成人であれば、損害賠償を求めることは難しいと思います。また、間もなく成人に達する年齢の未成年者については、親権者の責任を否定した事例もあります。
 今回の場合、子が大学生であって親の影響力が小さくなってきていること、別居していることから十分に監督できる状況にはないことなどを踏まえると、姉夫婦の責任を問うのは困難ではないかと考えられます。ただ、個人的な意見となりますが、預かってもらっている子どもの不始末について、道義的には親に責任を取ってもらいたいと思いますね。

<回答・山本健太郎弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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