転勤拒んだら解雇される? (2015年2月28日掲載)

Q. 私は商社に勤めており、勤務地は15年以上大阪です。ところが先日、上司から「君は4月に札幌支社へ転勤だ」と言われました。私はずっと営業の仕事をしてきたのに、札幌では人事を担当するそうです。大阪には介護が必要な両親がおり、これまでは転勤がないよう会社に配慮してもらっていたのです。この上司は私とは犬猿の仲で、不要な人事異動を強要する嫌がらせ以外の何物でもありません。拒否したいと思っていますが、断ったら解雇されるでしょうか。

■嫌がらせ目的など 配転命令違法なら無効

A. 配転命令を拒否した場合に、業務命令違反で懲戒解雇されるのかという問題ですね。基本的に、その結論は配転命令が違法か否かに帰着することになります。つまり、違法な配転命令を拒否したことによる懲戒解雇ならば無効となります。では、どのような場合に違法となるのでしょうか。

 裁判例によりますと、①業務上の必要性がない②不当な動機・目的でなされた③労働者に通常甘受すべき過程を著しく超える不利益を負わせる--場合などには、権利乱用として違法となります。
ご質問のケースですと、配転後の仕事内容がこれまで経験のない人事ということのみをもって、①の「業務上の必要性がない」と言うことはできません。ですが、不要な異動を強要する嫌がらせ目的によるものであれば、②の「不当な動機・目的」に該当して違法となります。介護が必要な両親の存在やそのことに対するこれまでの会社の配慮は、③の「不利益」であるかどうかの要素となり、両親の状態や介護状況などの具体的な事情によって判断されることになります。
 従って結論としては、上司による嫌がらせ目的の配転ということであれば、配転命令は違法であり、それを拒否したことによる懲戒解雇も無効となります。
 しかし、実際には、配転が不当な目的でなされたかどうかが判然としない場合が多く、そのことが裁判の争点となることが少なくありません。そして、裁判所において配転命令が適法と評価されると、懲戒解雇が有効とされる危険性があります。そこで、配転命令には異議をとどめて配転先に赴任したうえで、命令の効力を争う方がよい場合もあります。
 どのように対応すべきなのかは事案によってさまざまですので、早期に弁護士などに相談されることをお勧めします。

<回答・吉村耕介弁護士(大阪弁護士会所属)>


※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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