引っ越しでツボ割れ 弁償は (2015年4月18日掲載)

Q. 先日、広島から大阪に引っ越してきました。引っ越し業者に依頼したのですが、新居で段ボール箱を開けてみたら、大事にしていたツボが割れていました。還暦祝いに息子たちがプレゼントしてくれた思い出の品で、値段も数十万円はするはずです。業者に弁償してもらうことはできますか。

■特殊荷物と申告の場合 「約款」では業者責任

A. 引っ越し業者に弁償してもらえるかどうかは、その業者との契約内容によります。多くの引っ越し業者は「標準引越運送約款」を採用していますので、これに沿ってみていきましょう。
 この約款によると、美術品や脅量品など特殊な管理が必要な荷物については、業者がその存在を知らずに運送した場合、損害賠償の責任を負わないこととされています。また、壊れやすいものなど特段の注意を要する荷物については、業者が事前に確認していたのに依頼者から申告がなく、かつ、そういう荷物の存在を知らないことに業者に過失がない場合、同様に賠償責任を負わないことになっています。
 他方で、あなたが業者にツボのことを伝えており、業者がこれを知ったうえで運送していた場合には、弁償してもらえる可能性があります。今回のツボのように修理が困難であれば、時価額の弁償が原則となります。
 約款では、引っ越しの際に荷物が破損した場合、業者が注意を怠らなかったことを証明しない限り、損害賠償の責任を負い、速やかに賠償する、と記載されています。ただし、この責任は、荷物を引き渡した日から3カ月以内に通知を出さないと消滅することになっていますので、注意してください。
 また、引っ越し前のツボの状態について争いになることも想定されます。その時は、引っ越し前に撮影した写真などの証拠が必要となってくるでしょう。そのため、大切な荷物であれば、引っ越し前に業者に状態をよく確認してもらい、写真を撮り、引っ越し後は速やかに荷ほどきをして異常がないか確認することをお勧めします。
 業者によっては、独自の約款を取り入れているところもあります。また、約款のない業者であれば商法が適用され、荷物の状態について何も指摘せずに受け取って費用を支払うと、原則として業者の責任は消滅してしまうので注意が必要です。まずは弁護士にご相談ください。 

<回答・尾崎由香衣弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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