育休で上司から嫌がらせ発言 (2015年5月9日掲載)

Q. 育児休暇を取ろうとしたら、上司から嫌がらせを受けました。私はある会社の係長で、共働きの妻と1歳半の息子がいます。育休を取っていた妻が職場復帰するので、私が育休を取ろうと思っています。しかし、それを上司に告げたところ、「お前のキャリアに傷がつくぞ。評価は下げざるを得ないからな」と苦い顔で言われました。仕事はきちんとやっているのに、正直悲しくなりました。これって許される発言なのですか。

■「パワハラ」の可能性も 弁護士や労働局へ相談を

A. このような発言は許されるものではなく、「パワーハラスメント」に該当する可能性があります。まず、育児休暇と関係する法律について説明すると、仕事と育児の両立を目指して定められた、いわゆる育児・介護休業法があります。この法律では、子どもを持つ労働者は子どもが1歳になるまでの間、1年間の育児休業を取得する権利があると認められています。ちなみに、休業とは比較的長期間連続して取得することが一般的な休暇のことです。
 この権利は母親だけでなく、父親にも認められています。相談者のように、両親が時期をずらして育児休業を取得する場合、1年間の育児休業を取得できる時期が、子どもが1歳2カ月になるまで延長されます。これは父親にも積極的に育児に関わってもらうためで、言わば、通常よりも2カ月間長く育児が出来るボーナスみたいなものです。「パパ・ママ育休プラス」などとも呼ばれています。
 この法律に基づく育児休業は法的な権利ですから、会社が拒否できるものではありません。また、育児休業の取得を理由とする不利益な取り扱いは当然許されません。人事考査で不利益な評価をすることは不利益な取り扱いとなり、違法になります。こういうことがあれば、弁護士に相談してもいいですし、それぞれの都道府県の労働局へ相談すれば、指導や勧告をしてもらえる場合があります。
 ところで、相談者のお子さんは1歳半ということですから、育児・介護休業法に基づく育児休業を取得するのではなく、会社が就業規則などで定めた育児休業の制度を利用するものと思います。しかし、法律上の育児休業でないからといって権利がないということにはならず、会社に制度があれば、それは労働者に約束したことですから、労働者は利用する権利があります。その行使を妨害するような発言を上司がすることは、パワーハラスメントとして違法になる可能性があります。
 パワーハラスメントという言葉はすっかり定着していますが、要するに「職場でのいじめ、嫌がらせ」です。上司の発言が相談者への嫌がらせだと言えれば、許されないということになります。

<回答・大山弘通弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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