上階の学生が騒ぎ不眠に (2015年6月20日掲載)

Q. 社会人になって4月からアパートで1人暮らしを始めたのですが、上の階に住む大学生がしょっちゅう夜中まで友人らと騒ぎ、よく眠れない日があります。酒も飲んでいるのか大きな話し声やどたばたと跳ねるような音が夜中にずっと続くこともあり、騒いでいない時も不眠気味になってしまいました。大家さんには相談しました。注意はしてくれたみたいですが、上の階の態度はほとんど変わっていません。直接苦情を言うのも怖いし、何か有効な解決方法はないものでしょうか。

■受任限度超える場合違法 解決 調停申し立ても

A. 隣人などによる騒音が違法となるには、その騒音が「受任限度」を超えることが必要です。ご相談の件の場合、不眠症になるほどの騒音である上、大家さんからの注意後も改善されないことなどからすれば、受任限度を超えた違法な騒音になる可能性があります。
 裁判例では、マンションの階下に居住するロックミュ一ジシャンによる騒音(ほとんど毎日深夜に長時間ロック調の歌を歌う)の事案で、慰謝料などの損害賠償が認められたものや、マンションの上階の子供による騒音(深夜に飛び跳ねる、走り回る)の事案で、慰謝料などの損害賠償に加え、一定以上の騒音をやめることまで命じたもの(ただし控訴審で和解成立)などがあります。逆に、受任限度の範囲内として、「被害者」の請求を棄却した裁判例もあります。
 さて、ご相談の件では既に大家さんに申し入れをされていますが、大家さんは借家人に対して「良好な住まいを提供する義務」を負っており、この義務に違反するものとして賠償責任を負う場合があり得ること、騒音行為が大学生との賃貸借契約を解除する理由ともなり得ることを、大家さんに書面で指摘するとよいでしよう。
 騒音の最中であれば、警察への通報が効果的な場合もあります。駆け付けた警察官が注意すれば、一時的であれ、通常は騒音を止めるでしょう。止めなければ、「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」は「拘留又は科料に処する」と規定する軽犯罪法1条14号に遠反すると思われます。
 これらの方法によっても根本的に解決しない時は、ご相談者の被害が深刻であることを大学生に伝えるため、弁護士に委任して騒音を出す大学生に対し申し入れを行うか、簡易裁判所に調停を申し立てることをおすすめします。この場合でも、大家さんに対する申し入れも継続しておく方がよいでしょう。
 弁護士へ委任すれば、弁護士が窓口となって大学生に申し入れをしてくれます。調停は、調停委員を通じて言い分を相手に伝えますので、原則として相手と顔を合わせて議論するわけではありません。また、調停は相互の譲り合いの精神、話し合いにより「ま~るく」収めようという制度ですので本来、隣人同士の紛争の解決にはふさわしい方法です。
 なお、調停では解決できずに訴訟によらざるを得ない場合はもちろん、調停でも有利に手続きを進めるためには、騒音がいかに受任限度を超えるかを示す証拠の存在が重要です。騒音の録音、測定等の記録化もご検討ください。

〈回答・伊藤芳晃弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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