他人の傘強風で飛び 車に傷 (2015年8月8日掲載)

Q. 雨風が強かった先日、ショッピングモールの屋外駐車場に車をとめていたら、客が差していた傘が強風にあおられて飛び、車に当たりました。すごい音がしたので見ると、車に目立つ傷が。その客は知らん顔で立ち去りました。賠償を求めることは可能だったのでしょうか。

■損害の「予見」できるとき 賠償請求は可能

A. 民法は、不注意(過失)によって他人に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならないと定めています。相談のケースは、傘が飛んできたことによって車に目立つ傷がついたので、修理費用に相当する損害が発生したといえます。ただ、傘が強風にあおられて飛ばされたということで、客に過失があるのかが焦点となります。        
 一般的に、自己の所持品が他人の所有物にぶつかるなどして損害を与える可能性が「予見」できるときには、回避するよう注意すべき義務があります。この義務に反すれば過失があるといえます。予期せぬ事態で回避できなかったときは、所持者に責任を負わせるのは酷です。そのため相当注意して傘を持っていたのに、突然、強い風が吹いて傘が飛ばされたような場合には、予見はもはや不可能として、傘を差していた客の責任が認められず、弁償を求めることができない場合もありえます。
 しかし、相談のケースは雨風が強かった日の出来事です。そのような日には傘が風にあおられて飛ばされることは十分予見できるので、傘を差すのなら風で飛ばされて他人に損害を与えないように、より注意する必要があるといえます。また、傘を差せば必ず飛ばされると思われるほどの強風が吹き荒れていたような場合には、傘を差すこと自体を控えるべきでしょう。
 したがって、風の強い日に傘を差している以上、傘が飛ばされて他人に損害を与えることが予見できたことから、車に傷をつけるとの損害を与えた客は、原則として責任を負うというべきです。つまり、相談のケースでは、客に対して修理費用相当の弁償を求めることができると考えます。

〈回答・松村直哉弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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