30年前の写真、選挙ポスターに使用 (2015年10月17日掲載)

Q. 先週、住んでいる市で市議選があったのですが、高齢の候補者の一人が選挙ポスターに載せた自身の上半身の写真が、実際の候補者とずいぶん違っていました。情報通の知人が言うには30年前の写真だそうです。そんなことをしても違法ではないのですか。

■規定「虚偽」に当たらず 本人なら画像修正等も可能

A. 公職選挙法235条1項は、当選する目的で候補者などが身分や職業、経歴、所属する政党や団体について虚偽の事項を公にすると、2年以下の禁固刑または30万円以下の罰金刑を科されると定めています。選挙ポスターの候補者の写真が、この規定の対象になるのかという議論もありますが、仮になるにしても、30年前の写真とはいえ候補者本人の写真であることに偽りがなければ、規定の中の「虚偽」には当たらないと言うべきでしょう。
 候補者本人と称して別人の写真を掲載することは「虚偽」に当たるといえますが、撮影で特別な化粧をすることや、肌の色の補正やシミ消しなどの画像修正は「虚偽」には当たりません。
 選挙ポスターは大きさや掲示場所、期間などについての規制はありますが、ポスターの内容は候補者の表現の自由に広く委ねられています。そのため、候補者によってはポスターの構図やイラスト、写真のポーズや服装についてさまざまに演出する場合もあるようです。2015年の統一地方選では、自身の全裸の写真をボスターに使った候補者がインターネットで話題になりました。
 一方で、各戸に配布される選挙公報については自治体の選挙管理委員会による規制が設けられていることもあります。例えば「おおむね6カ月以内に撮影し、脱帽の上で正面を向いていること」を、使用する写真の要件と定めている自治体もあります。
 候補者にとって選挙活動は憲法21条1項で「表現の自由」として保障されます。私たち有権者は、民主主義の当事者として候補者が次々と発信する情報をしっかりと吟味し、分析する力量が問われています。

〈回答・南和行弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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