スマホ注視の人に当たりけが 医療費は? (2015年10月31日掲載)

Q. 歳の娘とスーパーに行った帰りのことです。ちょっと目を離した間に、娘はスマートフォンを操作しながら歩く男の人とぶつかり、転んで顔などにすり傷を負いました。娘はきょろきょろしながら歩いていたようですが、男の人もスマホ画面を注視して前をよく見ていなかったようです。医療費などを請求できますか。

■相手の不注意請求可 賠償額 過失相殺対象で減額も

A. 民法は、不注意で他人の生命・身体や財産に損害を与えた人は、被害者の損害を賠償しなければならないとしています。
道を歩くときは、周りをよく見て注意して歩かなければなりませんが、その男の人はスマホ画面を注視して前を見ていなかったというのですから、不注意があったといえるでしょう。娘さんは男の人の不注意が原因でぶつかり、転んでけがをしたので、加害者である男の人に対して治療費を請求することができます。
一方、法律では被害者に過失(不注意)があった時はそれを考慮して賠償額を定めることができるとされています。これを過失相殺といいます。
 娘さんは、きょろきょろしながら歩いていたということですので、不注意があったといえそうです。しかし判例では、過失相殺を行うためには、被害者に物事の道理をわきまえることができる程度の能力があることが必要とされています。
 この能力が備わる年齢は、一般に5~6歳が基準と考えられています。娘さんの年齢を考えると過失相殺されるかは微妙です。ただし判例上、被害者に能力がないと判断されても、親のように被害者と「身分上一体をなす」とみられる関係にある人の不注意
は、被害者側の過失として過失相殺の対象になるとされています。
 男の人に、治療費などを請求できるとしても、娘さんがきょろきょろしていた不注意や質問者が娘さんから目を離していた不注意が被害者側の過失として考慮され、減額される可能性があるでしょう。

〈回答・岡村勇人弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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