タクシーでつぶれたケーキ 弁償させられる? (2016年2月13日掲載)

Q. 先日、娘の誕生日に奮発して5000円のケーキを買い、最寄り駅からタクシーで帰りました。途中、運転手が赤信号で急ブレーキをかけたため、ケーキが座席から落ちてぐちゃぐちゃになりました。運転手は知らん顔。つぶれたケーキで泣く泣く誕生日を祝いました。弁償や賠償などを求めることはできたのでしょうか。

■赤信号の急ブレーキ回避可能 業者に賠償責任

A. つぶれたケーキの代金5000円について、損害賠償を求めることができるかどうかについて考えます。
 タクシーの場合、道路運送法は各事業者に対し、運送に関する約款を定めなければならないとしています。賠償については、業者が定めた約款に従うことになります。
 一般的に用いられる国土交通省の「標準運送約款」は、手荷物の破損のような損害については、業者や運転手が運送に関して注意を怠らなかったことが証明された場合以外は、業者が賠償責任を負うと定めています。
 相談のケースでは、運転手が赤信号で急ブレーキをかけたとのことですが、通常は赤信号の前に黄信号が表示されることから、赤信号を予測することは容易で、急ブレーキをかける必要はありません。また、そもそも道路交通法上、運転手は他人に危害を及ぼさないように安全運転をする義務があります。
 したがって、運転手がタクシー運行に注意を怠らなかったことを証明するのは難しいと言えるので、業者は賠償責任があると考えます。運転手が急ブレーキを回避できないような特殊な事情でもない限り、相談者はタクシー業者に対し、ケーキ代金5000円の賠償を求めることができるでしょう。
 このような場合、タクシー代を支払いたくないという気持ちに駆られると思います。しかし、相談者は最寄り駅から目的地である自宅までタクシーで移動できており、「旅客の運送」との目的は達成されていることから、運送料金であるタクシー代は支払わなければなりません。

〈回答・辻健司朗弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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