歩きたばこでコートに穴 刑事責任は? (2016年3月19日掲載)

Q. 先日、街中を歩いていたら、歩きながらたばこを吸っていた人のたばこが私の着ていたコートに当たり、穴があきました。文句を言ったが取り合ってくれません。弁償などを求めることはできますか。刑事責任は問われないのでしょうか。

■喫煙者の不法行為成立 修理費用を請求可

A. まず、弁償について考えてみましょう。
 喫煙者は歩きたばこで通行人の衣服に穴をあけてしまう可能性を予見できます。そうであれば歩きたばこをやめるべきですね。にも関わらず歩きたばこをしたことは喫煙者に不注意(過失)があると言え、不法行為が成立します。相談者はその人に対し、弁償を求めることができます。
 弁償の額は原則として必要、相当な範囲内での修理費用です。ただし、コートの購入時期や状態、穴の程度などを踏まえたコートの価値の範囲内にとどまります。
 例えばバイクの運転者が着ていたダウンジャケットが事故で損傷したケースで、事故の約2カ月前に購入したことや損傷前の使用状態が良好であったことから、購入額の8割を損害額と判断した東京地裁の判決もあります。このケースではダウンジャケットの価値は購入額の8割と判断されているので、修理費用として認められるのは購入額の8割の範囲内となるでしょう。
 次に刑事責任について考えてみましょう。
 器物損壊罪が成立するでしょうか。器物損壊罪は他人の物を壊そうと思って壊した場合に認められます。今回は喫煙者が通行人の衣服に穴をあけようと思って歩きたばこをしたといった事情が見受けられないため、原則として、器物損壊罪は成立しないでしょう。
 仮にあなたがたばこでけがをした場合は、喫煙者は過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)、場合によっては重過失傷害罪(5年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金)に問われる可能性があります。
 刑事責任ではないのですが、路上喫煙を規制する条例を定める地方公共団体があります。例えば大阪市は「路上喫煙の防止に関する条例」を定めており、「路上喫煙禁止地区」で喫煙すると1000円の過料が科せられます。
 

〈回答・國祐伊出弥弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

ページトップへ