友達に貸した本 ボロボロに。法的には? (2016年4月2日掲載)

Q. 先日、友人に貸していた本が返ってきたのですが、新しかった本の表紙や中身は一見しただけでボロボロに。友人には小さな子どもがいるのでそうなったのかもしれませんが謝罪の一言もありません。法律的には、どのような対応を取ることができるのでしょうか。

■通常要求される管理なければ 損害賠償請求できる

A. 友人に本を貸すといった、「借主」(=友人)が「貸主」(=あなた)に無償で使用などをした後に返還することを約束し、貸主から目的物(=本)を受け取ることで成立する契約を、民法上は「使用貸借」といいます。
 使用貸借契約において、借主は目的物の性質によって定まった用法に従い、使用などをすることができます。この契約が返還を約束する性質上、借主は目的物を「滅失」「毀損」させないよう、通常要求される程度の注意を払いながら目的物を管理する必要があります。
 ところで、本は手にとって読むものです。貸主がそれを前提に貸している以上、通常の使用が認められる程度でページが開いてしまったり、表紙が擦れてしまうことは予定されています。したがって、借主は新しいままの本を返さなければならないということはありません。
 しかし、ご相談のケースは、「新しかった本の表紙や中身は一見しただけでボロボロ」になったということで、借主が、通常要求される程度の注意を払って管理していたとはいえません。そのため、貸主は借主に対し、使用貸借契約における債務不履行として、損害賠償を請求することができます。
 具体的には、貸す当時の本の市場価格程度を上限として賠償金を請求できることになると思われます。なお、損害賠償請求は本を返してもらってから1年以内にしなければなりません。
 もっとも、友人との関係などの状況で、厳密に権利義務の発生する使用貸借契約とはいえず、日常的な付き合い行為として、損害賠償請求になじまないこともあります。例えば、「読んでみて」と文庫本などを友人同士で貸すことは少なくありませんが、「返ってこなくてもいいや」というぐらいの気持ちでやりとりをしていることも多いでしょう。ボロボロの本を謝罪の一言もなしに返す友人の態度は確かに問題ですが、法律的に損害賠償請求ができるというほどのものではないかもしれません。

〈回答・山岸克巳 弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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