就職先が「ブラック企業」 救済手段はある? (2014年2月1日掲載)

Q. 就職浪人して昨年の春、あるIT企業にやっと入れたのですが、いわゆる「ブラック企業」でした。日付が変わるまでの残業は当たり前で、会社に泊まり込みになる時もあります。なのに、社長からは「おまえの仕事が遅いから悪いんだ」と怒鳴られ、残業代の不払いが続いています。先輩たちもどんどん辞めているのですが、社長が怖くて泣き寝入りしている状況です。私ももう限界です。救済手段はありますか。

■労組や労基署などに相談を

A. こうした過酷な労働で社員を使い捨てにし、利益を上げる会社は「ブラック企業」と呼ばれています。高校・大学を卒業したばかりの若者をたくさん採用する一方、大量の退職者を生み出すため、社会問題になっています。法律を無視した働かせ方で、見過ごすことはできません。
労働基準法は、労働時間の上限を1日8時間、週40時間と規定しています。これを上回って働かせる場合には、使用者と労働者が協定を結ばなければいけません。同法36条で定められていることから、「36(さぶろく)協定」と呼ばれています。協定がないのに時間外労働をさせたり、協定の上限を超えた長時間労働を強いたりするのは違法です。
また、時間外労働には、基本賃金に割り増しした賃金を支払わなければいけません。今回のケースのように、「働く人の能力が足りない」と社員に責任を転嫁し、残業代を支払わないのは悪質だと言えます。
厚生労働省は昨年9月、こうしたブラック企業の実態を把握するため、「過重労働重点監督月間」として立ち入り調査などをしました。その結果、事前に問題があるとみられていた全国5111事業所のうち、82%にあたる4189事業所で長時間労働や残業代不払いなどの違反があったことが分かりました。
一般に、月80時間以上の時間外労働は心身を破壊し、過労死や過労自殺を引き起こす危険があるとされています。また、上司によるパワーハラスメントでうつ病などの精神疾患を発症し、休職や退職に追い込まれるケースもあるのです。
ブラック企業は違法行為を確信犯的に繰り返しているわけですから、社内での解決は困難な場合が多いです。地域や業種ごとに結成されている労働組合や近くの労働基準監督署、弁護士など外部に相談してください。未払い残業代の請求など、早急に対応策を立てることが必要でしょう。


 <回答・東尚吾弁護士(大阪弁護士会所属)>


※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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