海外で事故、歯が欠損 旅行会社の賠償は (2014年3月10日掲載)

Q. 先日、友人が旅行会社のツアーに参加して南米を旅行しました。ところが、旅行会社が手配したドライバーの運転が乱暴で事故に遭い、歯が5本も折れてしまったそうです。こんな時、旅行会社は賠償してくれるのでしょうか。私も今年の夏、中東へ卒業旅行に行きます。どんな備えが必要ですか?

■請求難しいが「約款」で補償金も

A. 海外旅行中に事故に遭って損害を被ってしまった場合、十分な損害賠償金の支払いを現地で受けることは容易ではありません。そうした時、国内の旅行会社に賠償を請求できるのか、心配でしょうね。
まず、あなたの友人のケースでは、旅行会社に賠償請求するのは難しいと思われます。旅行先での交通事故について、法令上の資格がある運送機関と運転手を手配し、法令で運行が認められた運送手段を確保すれば、旅行会社に賠償責任はないとされています。単にドライバーの運転が乱暴だったという理由だけでは、賠償請求は認められないでしょう。
かといって救済手段がないわけではありません。旅行会社の「旅行業約款」に基づき、補償金を得られる可能性があります。
旅行業約款とは、各旅行業者が作成するもので、旅行契約の基本条件として使われます。消費者庁と観光庁がそのひな型である「標準旅行業約款」を告示しており、ほとんどの旅行会社は同一内容の約款を作っています。この標準旅行業約款の特別補償規定によれば、旅行会社の主催旅行中、急激かつ偶然な事故で身体に障害を負った場合、最高で2500万円の死亡補償金や後遺障害補償金の他、入院・通院の状況によって見舞金が支払われます。あなたの友人のように、歯が5本欠損した場合、後遺障害補償金の支払い対象になります。ただし、補償金の支払いを担保する制度は存在していません。いざという時に補償金が得られないということがないよう、信用できる旅行会社を選びましょう。十分な資力があるか、補償金支払いのための保険に加入しているかどうかをチェックしてください。
また、クレジットカードには海外旅行傷害保険がついている場合が多いです。希望する補償内容を考慮してカードを選択したり、自分で保険に加入したりして、万が一の事態に備えることも検討すべきでしょう。

 <回答・高橋正人弁護士(大阪弁護士会所属)>


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