国際結婚破破綻し子連れ帰国 夫が子どもの返還要求 (2014年4月12日掲載)

Q. 国際結婚してオーストラリアで暮らしていた私の娘が今月、3歳の息子を連れて日本に戻ってきました。夫の浮気が原因でけんか別れしてきたそうで、「日本で私が育てる」と言っています。でも、オーストラリア人である娘の夫も「子どもは生まれた場所で育てるのが当然だ」と息子を返すよう求めていて、お互いに譲りません。どうしたらいいでしょうか。

■ハーグ条約で元の国へ

A. 日本人と外国人の国際結婚は年々増えており、結婚生活が破綻して一方の親が子を母国へ連れ帰るケースも少なくありません。こうした国境を越えた子の連れ去り問題を解決するため、「ハーグ条約」という国際的なルールがあります。
ハーグ条約では、残された親が子の返還や、子との面会を求めるための手続きが定められています。日本も最近この条約を締結し、今月1日から発効しています。ご質問のケースについて、条約に従ってどのような解決がされるのか説明しましょう。
オーストラリア人の夫は子を連れ戻すため、東京または大阪の家庭裁判所に裁判を起こすことができます。そして家裁は、子の世話や教育をする「監護権」がどちらの親にあるのかの判断をせず、原則として6週間以内に子をオーストラリアに返還するよう命じます。これは、まずは迅速に子を元の国に戻し、その国の司法で監護権について判断するのがこの利益に資するということが、ハーグ条約の理念だからです。
ただし、帰国から1年以上経過していたり、子の心身に重大な悪影響があったりする場合には、例外的に返還が認められないことがあります。それでも、あなたの娘さんのように、夫の浮気だけを理由に返還を拒否することは難しいでしょう。家裁の返還命令が出れば、子はオーストラリアに戻ります。監護権については、その後、現地の裁判手続きに従って争うことになります。
あなたの娘さんの立場からすると、子がオーストラリアに返還される前に、夫との話し合いによる解決を試みることが重要です。国際離婚や子の問題に対応できる民間の仲裁機関もあります。こうした問題では、ハーグ条約を含めた法律についての理解が不可欠ですので、まずは弁護士など専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
    

 <回答・多田慎弁護士(大阪弁護士会所属)>


※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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