死刑執行に抗議する会長声明

死刑執行に抗議する会長声明

 本年12月18日、東京拘置所及び仙台拘置支所においてそれぞれ1名の死刑が執行された。岩城光英法務大臣が就任してから初めての執行となるが、第二次安倍内閣以降では、本年の6月以降8回目であり、合計14名もの死刑が執行されたことになる。当会は、改めて死刑執行に強く抗議する。
 今回、東京拘置所において執行された者については、2011年(平成23年)6月17日に裁判員裁判において死刑判決がなされた。裁判員裁判の下で言い渡された死刑判決が執行されたのは、今回が初めてである。日本において、死刑問題について新たな段階に入ったともいえるが、裁判への市民参加が進められているにも関わらず、未だに死刑に関する情報公開が不十分なまま執行されたものであり、憂慮を感じざるをえない。
 当会は、会内に死刑廃止検討プロジェクトチームを設置し、死刑のない社会を目指してどのような活動を行うべきかについて議論を重ねるとともに、死刑の執行方法に関するDVDの作成、シンポジウムの開催、ブックレットの作成などを通じて、市民とともに死刑制度の問題点を検討し、死刑制度について全社会的議論を呼びかけてきた。また、かねてより再三にわたり、政府に対し、死刑執行の停止と、死刑に関する情報の公開を求めてきた。しかし、この間、刑場の状況や死刑確定者の処遇について一部公開されたものの、なお、十分な情報の公開がなされたとは言えず、死刑制度について全社会的議論を行う場すら設けられていない。
 また、2014年(平成26年)3月27日には、袴田巖氏の第二次再審請求事件について、静岡地方裁判所が再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定を行った。袴田事件に端を発し、現在では、捜査の在り方や死刑制度の問題点についての社会的な関心が高まっている状況が続いているところ、このような時期に死刑を執行したことは極めて遺憾である。
 死刑廃止は、国際的な趨勢であり、世界で死刑を廃止し、または停止している国は140カ国となっており、全世界の3分の2以上の国において死刑の執行はなされていない。2013年(平成25年)5月29日には、国連拷問禁止委員会の総括所見が採択され、日本政府は、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう求められている。さらに、2014年(平成26年)7月23日には、国連人権(自由権)規約委員会が日本政府に対し、「死刑の廃止を十分に考慮すること」との勧告を行っており、政府は、かかる勧告を無視して執行したことになる。
 当会は、政府に対し、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請するのみならず、死刑制度についての全社会的議論の場を設け、死刑の廃止を含めた抜本的な検討及び見直しを行うことを求めるものである。

2015年(平成27年)12月21日
  大阪弁護士会      
  会長 松 葉 知 幸

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