司法修習生に対する給費の実現を求める会長声明

司法修習生に対する給費の実現を求める会長声明

1 当会、日本弁護士連合会及び全国の弁護士会は、2010年(平成22年)4月から、当初は司法修習における給費制の維持・存続を、その後は給費の実現、修習手当の創設を求めてきた。2014年12月から集め始めた国会議員からの賛同メッセージが、与野党を問わず、衆参717名の過半数である359名を超えた。
 メッセージを寄せられた国会議員は、党派を超えて広がりを見せており、司法修習生への経済的支援の必要性についての理解が得られつつあるものと考えられる。

2 日本国憲法のもと、1947年(昭和22年)から現在まで、裁判所法において国家による法曹三者の統一的育成が義務づけられてきた。司法修習生は、最高裁判所に採用され、司法研修所のもとで、修習専念義務その他の公務員に準じた義務を負い、給費制により、修習及び生活に必要な費用を支給されてきた。
 しかし、司法制度改革の中で合格者を3000人とする目標が打ち出されたことで、財政難を理由に、2011年(平成23年)11月から給費制が廃止され無給となり、貸与制が導入された。他方で、合格者3000人目標の閣議決定は撤回された。
 司法修習生は、裁判官、検察官、弁護士という法曹三者となる者であり、民主主義の健全な機能を担保し、国民の基本的人権の擁護、維持するための司法の担い手である。そして司法がその役割を果たすためには、裁判官、検察官だけなく、在野法曹として国民と司法との接点となる弁護士の役割も不可欠である。弁護士は、公益的役割を担う職業であって、民間事業者とは異なり、国の財政により、裁判官、検察官とともに養成する意義は大きく、国の責務である。

3 そして、給費制の廃止、司法修習生を無給とする貸与制の導入は、現在の法曹志願者の減少の大きな一因となっている。
 平成15年度の旧司法試験では受験者数が45,372人であったところ、平成27年度は、法科大学院入学者数が2,201人、予備試験受験者数が10,334人でしかない。
 かかる法曹志望者の減少の主要な原因として、重い経済的負担がある。特に、司法試験合格後も生活費等を自己負担し、司法修習生の七割が平均305万円の借入金を受けている実情が、「法曹離れ」を加速させている。
 国の司法権を担う法曹三者の質の維持には、有為な人材が個人の経済的背景に左右されることなく法曹をめざすことが重要であり、このような実情を早急に是正しなければ、国家の将来的な危機をも招く。

4 政府も、昨年6月30日に法曹養成制度改革推進会議の決定「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」と表明した。
 当会は、国会に対しては、給費の実現・修習手当の創設を内容とする裁判所法の改正を求めるとともに、法務省及び最高裁判所に対して、かかる法改正を実現するため早急に所要の措置をとることを求めるものである。

2016年(平成28年)1月20日
  大阪弁護士会      
  会長 松 葉 知 幸

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