川崎市で発生した少年事件に関する報道についての会長声明

川崎市で発生した少年事件に関する報道についての会長声明

 本年2月11日に発売された株式会社新潮社発行の週刊誌「週刊新潮」2月18日号において、昨年2月20日に川崎市で発生した少年を被告人とする殺人事件について、被告人の実名及び顔写真が報道された(以下「本件報道」という。)。
 少年法は、少年の健全な育成を目的として掲げ(第1条)、その目的達成のために、同法第61条において少年の特定につながる推知報道を禁止している。また、子どもの権利条約第40条第2項は、手続の全ての段階において少年のプライバシーを尊重しなくてはならないとしている。
 本件報道では少年である被告人の実名等が公表されており、少年法第61条及び子どもの権利条約第40条第2項に明らかに違反している。
 憲法第21条が保障する表現の自由は極めて重要であるが、少年の実名等は、報道に不可欠な要素ではない。事件の背景・原因を的確かつ冷静に報道すれば、実名等が報道されなくても、同種事件の再発を防止することに資すると考えられるが、本件報道は、「週刊新潮」において大々的かつセンセーショナルに取り扱われており、興味本位で商業的な要素が大きいと言わざるを得ない。
 株式会社新潮社に対しては、昨年3月5日付で、日本弁護士連合会から「少年の実名等報道を受けての会長声明」が発出され、実名等報道の違法性を指摘したうえで、今後同様の実名等報道をすることのないよう要請されている。にもかかわらず、株式会社新潮社が、本件報道に及んだことは、極めて遺憾というほかなく、当会としては、本件報道に対して厳重に抗議するとともに、今後同様の少年法及び子どもの権利条約に違反する行為を行わないよう強く要請する。

2016年(平成28年)3月8日
   大阪弁護士会      
   会長 松 葉 知 幸

ページトップへ