少年事件で死刑判決が確定した元少年の実名・顔写真報道についての会長声明

少年事件で死刑判決が確定した元少年の実名・顔写真報道についての会長声明

 本年6月16日、最高裁判所は、2010年(平成22年)2月、宮城県石巻市で当時18歳7か月の少年が元交際相手の女性を連れ戻そうと女性宅に押し入り3人を殺傷したなどとして、殺人罪に問われた事件(以下「本件事件」という。)について、1審(裁判員裁判)及び2審で死刑判決を受けた元少年(被告人)の上告を棄却する判決を言い渡した。
 一部の報道機関は、死刑判決が確定することとなったとして、元少年の実名及び顔写真を報道した(以下「本件報道」という。)。
 本件報道を行った報道機関は、その理由として、本件事件が凶悪で重大な犯罪として、社会の関心が高いことや、死刑判決が確定したことで元少年が社会復帰して更生する可能性が事実上なくなったことを挙げている。
 しかしながら、少年法第61条は、少年時の犯行について、氏名、年齢等本人であることを推知することができるような記事又は写真を報道(以下「推知報道」という。)してはならないとしている。これは、死刑判決が確定したとしても、再審や恩赦制度があることから、元少年が社会復帰して更生する可能性は残っているからである。
 国民の知る権利のため報道の自由の重要性は論を待たないが、本件事件の背景・要因等を報道することこそが同種事件の再発防止等の観点から必要なことであって、元少年の実名・顔写真の報道は社会の関心に応える上で必要な要素とは言えない。
 当会は、これまで2015年(平成27年)3月9日付け「川崎市で発生した事件に関する報道についての会長声明」及び本年3月8日付け「川崎市で発生した少年事件に関する報道についての会長声明」などにおいて、報道機関各位に対して、少年法第61条を遵守するよう繰り返し要望してきた。それにも関わらず、明らかに少年法第61条に違反する本件報道が行われたことは極めて遺憾である。
 当会は、報道機関各位に対し、少年時の犯行にかかる全ての推知報道を行わないよう重ねて要望する。

2016年(平成28年)6月28日
  大阪弁護士会      
  会長 山 口 健 一

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