大阪府地域別最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

大阪府地域別最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

 中央最低賃金審議会は、2016年(平成28年)7月28日、本年度の地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安を答申した。これによれば、全国平均の引上げ額の目安は24円、大阪府の地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は25円とされた。これを目安として、大阪地方最低賃金審議会は大阪府の地域別最低賃金の改定について審議を開始しており、まもなく答申が出される見込みである。仮に、中央最低賃金審議会の目安どおりに改定されるとすれば、大阪府の地域別最低賃金は、858円から883円に引き上げられることとなる。しかし、この水準では、フルタイムで働いても、月収約15万5000円、年収約184万円にしかならず、一人で経済的に安心して生活していくことさえ難しく、子どもを産み育てていくことなど到底困難である。
 国際的な水準に照らしても、アメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州では15ドル(約1530円)、フランスは9.67ユーロ(約1102円)、イギリスは7.2ポンド(約972円)、ドイツは8.5ユーロ(約969円)であり、日本の最低賃金はこれらを大きく下回っている。
政府は、年率3%程度を目途として最低賃金を引き上げていき、全国加重平均が1000円となることを目指すとしている(「ニッポン一億総活躍プラン」平成28年6月2日閣議決定)。しかし、年率3%で引き上げても1000円に到達するにはあと7年もかかることになる。「新成長戦略」の閣議決定(平成22年6月18日)における「2020年までに全国平均1000円」との目標を堅持し大幅な引上げがなされなければならない。
 わが国では正規雇用と非正規雇用の賃金格差が大きいまま、非正規雇用の割合が増加し続けており、そのことが、社会全体の格差と貧困を拡大する大きな要因となっている。特に、若い世代にとっては、学卒後に最初に就職する時点から非正規雇用という者も増えており、若者の貧困率が上昇し続ける一因となっている。また、ひとり親世帯の多くが子育てとの兼ね合いのため非正規雇用として働くことを余儀なくされているが、非正規雇用の低賃金と不十分な子育て支援施策とが相まって、ひとり親世帯の貧困率は50%を超えてOECD諸国の中で最悪となっている。非正規雇用の賃金の底上げは格差と貧困を解消するため喫緊の課題である。
特に、大阪では、地域別最低賃金×1.05未満の賃金で働くパートタイム労働者が26.14%、地域別最低賃金×1.15未満の賃金で働くパートタイム労働者が49.73%となっており、最低賃金近傍で働くパートタイム労働者が他府県と比べても多い割合となっており、最低賃金の引上げは、パートタイム労働者の賃金を下支えする効果が大きく、賃金格差の縮小に大きな役割が期待される(独立行政法人労働政策研究・研修機構「資料シリーズ№177」参照)。
 以上のことから、当会は、大阪地方最低賃金審議会に対し、賃金の低廉な労働者について、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争を確保し、地域経済の健全な発展に寄与するべく、中央最低賃金審議会の目安にとどまらず、大阪府の地域別最低賃金を大幅に引き上げることを求めるものである。

2016年(平成28年)8月3日
  大阪弁護士会      
   会長 山 口 健 一

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