福島第一原発事故による全ての避難者に対する無償化住宅支援継続を求める会長声明

福島第一原発事故による全ての避難者に対する無償化住宅支援継続を求める会長声明

 福島県は、国と協議の上、昨年6月15日、福島第一原子力発電所事故により政府からの避難指示を受けずに避難した避難者に対し、住宅の無償提供を2016年度(平成28年度)で終える方針が公表された。そして、新たな支援策として民間賃貸住宅家賃への支援(避難者に対する帰還・生活再建に向けた総合的な支援策)を打ち出した。

 しかしながら、このような支援策の対象は狭く、家賃補助率も低く、期間もわずか2年間でしかないという不十分な内容であるため、大阪府内で生活する避難者の多くは今後の生活への不安を訴え、当地での避難の継続を希望している。
 2016年(平成28年)6月20日に発表された福島県避難者意向調査結果においても、避難者全体の55.3%、区域外避難者においては64.9%もの避難者が応急仮設住宅に入居されている実態が伺える。また、現在の生活での不安や困っていることとして「住まいのこと」を回答された方は、全体で43.2%、区域外避難者においては51.1%にのぼっている。さらに、県外避難者の今後の生活予定では、現在の避難先市区町村(福島県外)に定住したいが22.3%と最も多く、次いで現時点では決まっていないが20.6%とされ、被災当時の居住地に戻りたいと回答された避難者のうち、戻る条件として、45.4%の方が「地域の除染が終了する」、39.2%の方が「放射線の影響の不安が少なくなる」を挙げており、合計で84.6%もの方が今なお放射線による影響を懸念している実態がある。このことは、福島県外から避難してきた住民についても同様の状況にある。

 本来、未曾有の原発事故被害による避難者に対しては、国がしかるべき立法措置を講じて責任をもって安定的な避難先住宅を確保すべきである。国が、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「原発事故子ども・被災者支援法」という。)の基本計画において、避難者に対する恒久的な住宅支援策を打ち出すべきことは、これまでも当会の意見書等において求めてきたところである。
 また、福島県においては、国の施策を待つまでもなく、避難指示区域外からの避難者に対する応急仮設住宅の無償提供期限を2017年(平成29年)3月末までとする方針を直ちに撤回し、避難者が避難を希望する地域で今後の生活を自ら選択できるようになるまでの間、無期限でその継続をはかるべきである。

 東日本大震災及び福島第一原発事故から5年余りが経過した今もなお、福島県における県外への避難者は約4万1000人に及んでいる。そのうち近畿6府県への避難者は約1500人である(福島県公表2016年7月14日現在)。福島県外からの避難者も相当数が全国に避難を継続している。
 このような状況で、福島県が、区域外からの避難者に対して無償住宅支援を終了させることは、避難者は行き場を失い、住まいを失うことで、就学、就労の基盤も奪うことに繫がり、事実上、帰還を強要することに他ならない。現在、福島県の決定を踏まえて、避難先の各自治体が、期限終了後の住居の移転についての意向確認を迫っており、避難者の不安は急速に増大している。
 そこで改めて、福島県に対し、区域外避難者に対する住宅の無償提供の本年度の打ち切りを撤回し期限延長をするとともに、国に対しては、原発事故子ども・被災者支援法に基づき、原発事故避難者の恒久的な住宅支援策を創設するよう求めるものである。

以 上


2016年(平成28年)8月22日
  大阪弁護士会      
  会長 山 口 健 一

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