「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)の廃案を求める会長声明

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)の廃案を求める会長声明

 2016年(平成28年)12月6日、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下「カジノ解禁推進法案」という。)が衆議院本会議で可決され参議院に送られた。同年12月12日に参議院内閣委員会で参考人質疑等の審議を行い、会期末である同年12月14日の参議院本会議での法案の可決成立を目指す、との報道がなされている。
 カジノ解禁推進法案は、2013年(平成25年)12月に国会に提出され実質的な議論が行われないまま一旦廃案となったが、2015年(平成27年)4月に再提出され1年半以上もの間全く審議されないでいた。ところが、本年11月30日、突如として審議入りし、わずか6時間弱の審議を経たのみで、同年12月6日に衆議院本会議で可決されたものである。
 当会は、2014年(平成26年)6月、暴力団などの関与、犯罪の発生、風俗環境の悪化、青少年への悪影響、ギャンブル依存症患者の増加、経済的効果を上回る社会的コストの存在、多重債務問題再燃の危険性などを理由に、カジノ解禁推進法案の廃案を求める会長声明を公表した。
 その後も、カジノ解禁の問題点について議論するシンポジウムなどを開催した。そこでは、諸外国のカジノ事情の調査結果などを踏まえて、ギャンブル依存症の拡大への懸念はもちろんのこと、カジノ設置が決して期待されるような経済効果をもたらすものではなく、かえって地域経済への回復しがたいダメージを与える懸念が大きいことなどの問題点が指摘された。
 加えて、カジノはマネーロンダリングの温床になる可能性が高く、かかる観点からも、カジノ解禁には慎重であるべきである。
 この間、各種世論調査では、カジノ解禁に反対あるいは慎重との意見が賛成意見を圧倒する結果が示されており、新聞各紙も揃ってカジノ解禁に疑問を呈する社説を掲げている。
 カジノ解禁推進法案は、カジノ解禁に伴う上記の問題点を解消するものとは全くなっておらず、また、弊害に対応した対策をとる旨の附帯決議がなされたものの、いまだいかなる対策が講じられるかについての方向性すら検討されていない。また、衆議院における審議経過に鑑みても、人々の懸念に真摯に応えるものにはなっていない。
 加えて、カジノ解禁推進法案は、我が国では近代法制定以前から厳禁され、刑罰の対象とされてきた賭博行為を、特定の場所、特定の者に限定して非犯罪化するものであり、また、史上初めて民間賭博を公認するという、我が国の刑事司法政策に極めて重大な変更をもたらすものであり、この点からも慎重な審議を要する。しかし、衆議院におけるカジノ解禁推進法案の審議過程は、あまりに短時間かつ内容に乏しく、拙速にすぎるものである。
 よって、当会は、カジノ解禁推進法案の衆議院での可決に強く抗議するとともに、その廃案を求める。

2016年(平成28年)12月12日
  大阪弁護士会      
  会長 山 口 健 一

ページトップへ