OSAKA BAR ASSOCIATION

「為替証拠金取引110番」の実施について

実施日時 平成15年1月23日(木)、24日(金)
午前10時から午後4時まで
いずれも実施場所は、大阪弁護士会館4階小2会議室
電話番号 06−6364−1444
対  応 常時大阪弁護士会消費者保護委員会委員数名が、3本の電話を担当する
解  説  
第1、為替証拠金取引とは
 
  1. 例えば、3000ドル分(約36万円)の証拠金を出せば10万ドル(約1200万円)のドルを買わせてくれて、後日、ドルが値上がりした時点で円に換えれば、その分儲かる、といった取引をさせてくれる「為替証拠金取引」が、今、一つのブームとなっている。
    これは、株の信用取引が、100万円の現金を預ければ、300万円分の株式を買わせてくれるのと類似している。為替証拠金取引の場合、前記の例で、業者が、約1164万円を貸してくれて、自前の36万円と合わせてドルを買うのであるが、一方、10万ドルを借りてこれを売り、後日、ドルを買い戻して利益を狙うという、ドルの「売り」から始めることもできるものである(その点でも信用取引と類似)。
  2. これらは信用取引と類似しているとともに、6万円の証拠金を出して120万円分の「金」を売買する等の、商品先物取引と同様の危険性を有するものである。すなわち、わずかの対象物の価格変動が、思いもかけない大きな損失として現れるのである。
    なお、最近では松井証券が、金融デリバティブに属するものとして、金・証拠金取引を、証券取引として始めているが、これは、1.のドルを「金」に変えたもので、同様の問題をはらむものである。
  3. スワップ金利
    為替証拠金取引の場合、     
      円を借りてドルを買い、そのドルを預金する
    及び、
      ドルを借りてドルを売り、得た円を預金する
    という形を取るもので、通常、それぞれ円とドルに借入及び預金金利が発生する。
    現在、ドル金利の方が数段高いので、前者の場合は差し引きで顧客は預金金利を受け取り、後者の場合は支払うことになる。これをスワップ金利(の発生)と呼ぶ。
第2、為替証拠金取引の問題点
 
  1. 法の欠缺
    為替証拠金取引には、規制法もなく、業者は全く野放しであり、行政による免許どころか、届出制度すら存在しない。
    為替の自由化以降、円−ドルの交換は全く自由化され、個人も法人も、誰でも業としてでも自由に行うことができるようになった。
    商品先物取引なら、商品先物取引所法、証券取引なら、証券取引法で、厳しく業者は監督され、また行為規制、禁止規定等も詳細に規定されている。しかし、為替証拠金取引の場合は正に野放し状態である。
  2. 有象無象の業者の参入
    その結果、証券会社や商品先物会社が為替証拠金取引を行うのはともかく、サラ金業者が参入していたり、資産的な裏付けなく、大量のドルを売買しているとはおよそ考えられないような、いわゆるのみ行為を行っているのではないかとの疑いのある業者まで多数存在する。
  3. のみ行為、相対取引の疑い
    ほとんどの業者は、自ら外国為替市場でドルの売買をするのではなく、内外の業者に注文をつなぎ、そこが実際に売買を行うと説明している。多くの外国為替証拠金取引ではドル売買の手数料が非常に安く設定されているが(10万ドルの売買で片道100ドル等)、通常、銀行でドルを売買する場合は、1%程度の手数料を取られるもので、単なる両替だけではなく、為替証拠金取引をさせる手数料も含まれているとすれば、銀行での両替とは考えられず、インターバンク市場での取引を行っている業者に委託する、という関係が必要である。
    その業者ないしは、その業者から委託された業者が、インターバンク市場でドルを売買できる信用のあるところでない限り、それらがのみ行為、つまり、市場でドルを売買していると説明しながら、実は、ドルを買ったことにして、数字上だけ取引を成立させたことにして、顧客の損をすべて業者の益として取り込んでしまう構造を作っていると考えられるものである。
第3、110番の利用方法
  今回の110番により被害の実態を把握し、まずは為替証拠金取引の危険性を市民に知らしめて警鐘を鳴らすとともに、場合によっては被害救済弁護団の結成や、被害実態を集めて立法提言等につなげていく予定である。
第4、問合せ先
  大阪弁護士会委員会担当室 消費者保護委員会 担当事務局
TEL 06−6364−1227
FAX 06−6364−0252
 
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