OSAKA BAR ASSOCIATION

「原画版権商法被害に関する被害者説明会」の開催について

2003年(平成15年)5月6日
大阪弁護士会
 会 長  高 階 貞 男
同 消費者保護委員会
 委員長  川 村 哲 二
同 総合法律相談センター運営委員会
 委員長  高 階 叙 男

第1 開催の趣旨

  1. 被害情報について

     本年に入って、各地の消費者センターに、「原画から製品を作る際に作家に使用料を支払うのは高額なので、素人の方に作家の原画を購入してもらい、購入者に当社から使用料を支払う。原画購入はローンにすると月々2万円の支払となるが、当社から毎月使用料として2万3千円支払われるので大丈夫です」等の電話勧誘を受け、クレジットを組んで契約していたが、今年に入って、原画使用料の支払いが止まったとして多くの相談が各地の消費者センターに寄せられるようになりました。
     そのため、平成15年3月14日には、当会において原画版権商法被害110番を実施し、その被害実態を調査したところ、全国各地から同様の被害報告が多数寄せられ、全国的な被害発生の様相が明らかとなりました。
     110番に寄せられた被害報告で把握した被害状況は、契約原画枚数約230枚、総額約2億円(原画1枚90万円平均での換算)、報告件数59件でした。受付電話は鳴りっぱなしでしたので、さらに多数の被害者があると思われます。

  2. 事案の概要

     (1)事案概要
     上記被害110番及び被害者をはじめとする関係者からの情報を総合しますと、本件被害の概要は次のようなものです。
     1). 絵画の原画からポストカードやポスターを製作しているという業者から、消費者に対して、「原画から製品を作る際に作家に使用料を支払うのは高額なので素人の方に作家の原画を購入してもらう。その際、購入者に当社から使用料を支払う。原画購入はローンにすると月々2万円の支払となるが、当社から毎月使用料として2万3千円支払われるので大丈夫です」との電話勧誘があり、その前後に絵画のパンフレットが送付されます。
     2). 消費者が勧誘に応じると、「商品化権許諾契約書」やクレジット申込書等の契約書が送られてきて、消費者はこれに記入して申し込みます。
     3). これら業者とのやりとりは、ほぼすべて電話と書面の送付による(関東の一部地域では訪問販売の報告あり)。
     4). クレジット代金の決済日前に勧誘業者から原画版権使用料が振込まれます。
     5). 原画の購入代金は、1枚90万円程度。一人で複数枚の契約をさせられているケースがほとんどです。
     6). 購入者が原画を「購入」する際には、ほとんどクレジットや提携ローンを組まされますが、複数の原画を購入した場合、原画ごとにクレジットやローンの会社を変えています。
     7). 昨年暮れ頃、突然、版権使用料の振込みがされなくなり、今年に入って被害報告が各地の消費者センターに寄せられるようになったものです。

     (2)被害110番の状況・被害者の類型等
     3月14日に実施した被害110番で報告された被害状況は、つぎのとおりです。
     1). 被害報告の各地の分布
     近畿、東海、中部、北陸、関東、東北、四国・九州。
     被害報告が各地から寄せられたため、現地の有志弁護士の協力を求めて被害者への対応をしていただいています。
     2). 被害者層
     相談者は全員女性で、年齢層は、30代、40代。
     3). 契約原画枚数およびクレジット契約件数
     絵画の価格は1枚90万円のものがほとんどですが、一人当たりの契約絵画の枚数が2枚以上の人が9割を占め、6枚、7枚と契約しているケースが1割以上ありました。
     複数枚の絵画を購入させられているケースは、一度に契約したものではなく、1〜2年のあいだに実績を作って安心させ、順次契約をさせられているケースがほとんどです。
     各購入の際にそれぞれクレジットを組んでおり、クレジット会社も複数社に及んでいます。
     5). 契約時期
     契約時期は、平成11年頃のものから平成14年末頃まであり、平成14年11月以降に契約されたものも11件報告されています。
     6). クレジット会社および提携ローン先について
     11社の報告がありました。
     うち6社(20件以上の扱い、最多51件)に集中しています。
     7). 原画の保管状況
     原画は多くの場合、業者預かりになっており手元にはありません。購入者は勧誘業者からの預かり書(原画のコピーが印刷されている)を受け取っています。
     事件発覚後、預かり業者ではなく、信販会社が原画を送付してきたケースも出ています。

     (3)業者の動向
     1). 勧誘業者、販売元業者
     勧誘業者は、ケーエーシー、アシストトレーディング、ベストアート等と名乗っています。いずれも東京に本社を置く業者です。
     上記業者は、おおむね平成11年後半頃から活動していたようですが、昨年暮れ頃に事実上破綻に至ったと思われます。
     絵画販売元の業者も東京本社です。
     絵画販売元の会社およびその責任者は所在不明になっているわけではなく、同業者は、事件発覚後、絵画購入者に対し書面を送付し、解約すればクレジットは支払必要がない旨説明するとともに、解約通知書(官製はがき)のひな形を同封するなどの対応をしているようです。
     2). 信販会社・ローン会社
     信販会社・提携ローン会社は多社にわたっており、被害者に対する支払請求の程度も様々のようです。もっとも、中には支払停止の抗弁書を送付したにもかかわらず強引な請求をしてくるローン会社もあるようです。

  3. 本件商法の問題点 
     勧誘業者は、本件各絵画からポスター等を製作して販売するとしていますが、事業実態が不明であり、当初から版権使用料の継続支払が不可能であった場合や、絵画預り証を発行しているものの現物がない場合等には、非常に詐欺性の強い商法といわざるを得ません。
     また、1枚90万円という絵画の価格についても、時価数万円との情報もあり、絵画の販売価格が非常に高額ではないかとの見方も出ています。

  4. まとめ
     被害110番での受付け及びその後の問合せ等で、大阪在住の方からは現在10件程度の被害報告を受けている状況ですが、潜在的な被害者がまだまだ存在する可能性が高く、これら被害者に対する現況の説明と、今後の対処方についての的確な情報の提供を行うべく、被害者説明会を開催することになりました。

第2 開催日時・場所

  1. 実施日時:平成15年5月13日(火)午後2時から4時00分
      (開場午後1時30分)

  2. 場  所 :大阪弁護士会館6F
    大阪市北区西天満2丁目1番2号 TEL06-6364-1227
      (車での来館はご遠慮いただきます。)

第3 説明担当者・実施責任者

  1. 説明責任者:大阪弁護士会 消費者保護委員会委員

  2. 実施責任者:消費者保護委員会 委員長 川村哲二
            総合法律相談センター運営委員会委員長 高階叙男

第4 説明会実施後の対応予定

被害者説明会における出席者からのアンケート結果にもとづいて対応を検討します。
また、被害者の具体的な救済については、被害弁護団が結成される予定です。
有志の弁護士により弁護団が結成されたならば、その連絡先等を公表します。

第5 問合せ先

大阪弁護士会 委員会担当室 消費者保護委員会担当事務局

TEL 06−6364−1227

第6 主催団体

大 阪 弁 護 士 会

 
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