OSAKA BAR ASSOCIATION

「先物取引・外国為替証拠金取引被害110番」の実施について

1 実施の趣旨

  1. 従来の先物取引勧誘被害について
     従来より、ハイリスク・ハイリターンの投資商品・投機商品の代名詞として、先物取引が挙げられております。そして、先物取引業者は一般消費者に対して、先物取引のリスクについて明確に認識させることなく、あるいは、リスクについて誤認をさせ、あるいは、リターンのみを極端に強調することにより、投機商品としての危険性を認識させないまま取引をさせる問題が頻発しております。
     また、そもそも、一般消費者は、先物取引の高額のリスクを負担することができないものというべきであり、このような危険な取引に機関投資家でもない一般消費者が関わりうるという状況そのものも行過ぎたものといわざるを得ません。しかも、最近では、新規商品の上場もなされており(例えば、東京工業商品取引所の軽油など)、取引の拡大に伴うトラブルの増大も懸念されるところです。

  2. 先物取引会社の破綻被害
     のみならず、最近では、先物取引会社の破綻及びこれに伴う顧客保護という問題も忘れることはできないところです。すなわち、昨年12月には、先物取引会社であるアイコム株式会社が破綻し、同社に委託していた一般消費者の債権の保護が問題になって、トラブルが発生しました。現に、日本商品先物取引協会の平成15年度の苦情処理状況において、返還遅延が57%を占めており、上記のようなトラブルが増大していることを示しているものといえます。さらに、このトラブルの一部は、現在も未解決のままに、商品取引所及び社団法人商品取引受託債務補償基金協会の一方的通告により、被害が切り捨てられているという問題も発生しております。
     この問題は、単に商品先物取引会社の破綻に止まりません。そもそも、このような財務基盤の脆弱な業者に免許の更新をし続けてきた国や監督官庁の姿勢にも疑問が持たれているところです。加えて、平成15年9月には、委託保証金の分離保管義務に違反するものとして行政処分を受けた先物取引会社もあり、委託者である一般消費者の保護の問題が再燃する可能性もあります。なお、先物取引会社の破綻を踏まえて、現在商品取引所法の改正が検討されているところです。

  3. 外国為替証拠金取引
     さらに、先物取引会社が取り扱いする新種の商品として、外国為替証拠金取引があります。
     そもそも、外国為替証拠金取引とは、一定の保証金を預託すれば、それをはるかに超える米ドル、ユーロの売買を行うという取引であって、商品先物取引や株式の信用取引と極めて類似する構造を持っています。にもかかわらず、外国為替証拠金取引に関して何らの規制もされていないこと、監督官庁がないこと、不適格参入業者が多数跳梁跋扈している状況にあります。しかも、札幌地裁平成15年5月16日判決において、相対取引(つまり、インターバンク市場に取り次いでいない外国為替証拠金取引)は賭博である趣旨の判決も出るに至っています。
     外国為替証拠金取引の取扱業者は、商品先物取引業者のみならず、証券会社、その他資本基盤の脆弱な一般株式会社も含まれますが、商品先物取引と類似する構造、同様の被害発生の危険性があることから、今回の110番の対象とした次第です。


2 110番の実施概要

  1. 実施日時

    平成15年10月20日(月)

           午前10時から午後4時

    平成15年10月21日(火)

           午前10時から午後4時


    (於 大阪弁護士会館4階小1会議室)

  2. 電話番号(3台)

    06―6364−2232(代表)


  3. 相談担当者
    当会消費者保護委員会委員及び有志会員

  4. 実施責任者
    消費者保護委員会副委員長 大槻哲也

  5. 電話相談後の処理
    法律相談又は弁護士の紹介を希望される相談者には、当会総合法律相談センターを紹介いたします。

  6. 問い合わせ先
    大阪弁護士会委員会担当室 消費者保護委員会担当事務局
    (TEL 06−6364−1227/FAX 06−6364−0252)
 
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