10月1日、大阪地方検察庁「再犯防止対策室」の設立についての会長声明を発表しました。

 

【大阪地方検察庁「再犯防止対策室」の設立についての会長声明】

 

大阪地方検察庁が、障がいのある被疑者・被告人に対する取組として、平成26年10月1日付で社会福祉士3名を採用し、「再犯防止対策室」を設立することが発表された。

当会は、従来より、大阪府地域生活定着支援センターや大阪社会福祉士会と連携し、障がいのある被疑者・被告人のために司法と福祉との連携を図る活動を展開してきた。そして、この度、大阪地方検察庁に設置された「再犯防止対策室」については、罪に問われた障がい者の人権保障の見地から、その者に必要な福祉との連携を図るものとして、歓迎する。

 

その上で、「再犯防止対策室」の障がい者に対する福祉的支援の施策の運用にあたり、以下のとおり要望する。
 

1  障がい者の被誘導性に十分な配慮をすること
障がい者のなかには、被誘導性が高く、捜査機関に迎合する傾向のある人が数多く存在する。このような障がい者の供述傾向を的確に把握し、独自の見立てで証拠の吟味をおろそかにせず、犯人性、実行行為性、責任能力等の判断を適正に行い、えん罪を生まないよう留意されたい。

 

2  犯罪成立を前提とした再犯防止目的の福祉的支援にならないようにすること
犯罪の成立を前提としてしか福祉的支援が受けられないということになれば、福祉的支援を受けたいがために、無実の障がい者が虚偽の自白をしたり、福祉的支援が利益誘導として用いられるという懸念を生じてしまいかねない。したがって、あくまでも福祉的支援となるような運用に留意されたい。

 

3  福祉的支援は、当該障がい者の自由な意思決定のもとになされること
福祉的支援は、あくまでも当該障がい者の自由な意思決定のもとになされることが必要である。もし、再犯防止のために福祉的支援が強制されることになると、それはもはや実質的な保安処分になりかねず、「福祉」の名に値しない。

 

当会は、司法と福祉の連携に期待し、「再犯防止対策室」の運用状況を今後とも注視し、罪に問われた障がい者の人権保障の見地から、適切な施策を運用・展開することにより、同対策室が社会復帰への支援を果たす役割に期待するものである。

 

2014年(平成26年)10月1日
大阪弁護士会
会長 石 田 法 子

 

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