2019年12月26日 (木)

スキー

忙しいのですが,先週末,ニセコひらふスキー場に行って来ました。札幌で生まれ育った私がここに最初に来たのは,50年前,小学校1年生のときです。私はここが日本一のスキー場と思っています。

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そう思う人が多いのでしょうか,インバウンドブーム以前から,ここは外国人で賑わっています。オーストリアやニュージーランド,シンガポールなどからの方が多いようです。クリスマス休暇だったからでしょう,先日は本当に外国の人ばかりでした。ニセコの飲食店で一冬バイトをして,スキーも英語もうまくなると思います。40才くらい若ければやってみたかったなと思います。

 

2年ほど前,スマホのGPSの速度計で何気なく滑っているときの速度を測定してみました。

なんと,最高速度は時速71キロ!

すいていて雪面のコンディションも良いときに,急斜面の中腹あたりから直滑降をして叩きだした数値です。びっくりしました。

以後,これを上回ったことはありませんが,それでも時速65キロくらいは出ます。まずいなと思い,ヘルメットを買いました。外国の人はほとんどがスキーのときにはヘルメットをかぶっています。日本人にも着用者が増えています。 

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スキー場での事故については,平成7年3月10日の最高裁の判決があります。事故は,奇しくもこのニセコひらふで起きました。判例雑誌に,勝手知ったるこのスキー場の図が載っていて,びっくりしました。中腹あたりの斜面(判決では「急斜面ではなく」と認定されていますが,簡単な斜面とは言えない気がします)をパラレルで滑っていた主婦に,上からウェーデルン(懐かしいなー。今はウェーデルンとは言わず「小パラ」などといいます)で滑って来た大学生が衝突し,主婦が負傷した,という事故です。いずれも上級者だったようですが,学生は下方を滑る主婦に気づかなかったようです。

 

一審や二審は,主婦の学生に対する損害賠償請求を否定しました。スキーには必然的に危険が伴い滑走者は危険があることを認識して滑降しているから,といったことが否定の理由のようです。しかし,最高裁は,「スキー場において上方から滑降する者は,前方を注視し,下方を滑降している者の動静に注意して,その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う」として,学生の損害賠償責任を肯定しました。

 

ごく常識的な判決に思えますが,最高裁は「スポーツだから事故に遭っても仕方がない」という考え方をとりません,とはっきり言っているように思います。また,その後のスキー事故の裁判例を読みますと,裁判官は「上から滑って来る人」に厳しい気がします。交通事故の場合,動いている車同士の事故の場合はどちらにも落ち度があるとされることが多いのですが,スキーの場合,「下の人」の過失はゼロとした例もあります。

 

スポーツは危ないから被害者は事故を受け入れなさい(損害賠償請求できない)という加害者の主張が認められないのは,スキーに限ったことではありません。平成30年9月12日の東京高裁の判決は,バドミントンのダブルスで後衛が振ったラケットが前衛の目に当たったという事故で,後衛の過失を認め,損賠賠償を命じています。この件でも,前衛の過失はゼロでした。賠償額は1300万円以上です。

 

スポーツをするときには賠償保険に入ること,そして十分に注意して楽しむことが必要だと思います。暴走しているお前が言うな,と言われそうですが。

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