建築生産の実情を踏まえた意見に賛同します。

辻岡信也さんのコメントは、とても参考になりました。私も、偽装、違反をする人には、必ずと言っていいほど、言い分があると考えています。一方、建築物は現場で自然環境に左右されながら生産される特殊な生産物で、かつ出来上がってしまうとその性能が見えにくい性質があると言われています。従って、悪人が入り込んで、意図的に不正を働き、不当な利得を目指す恐れも出るわけです。しかし、善人であっても工期やコストに追い詰められると、「これくらい、良いか!」という意識が脳裏をかすめることがありえます。その典型が、生コンクリート打設時に発生しがちな加水問題で、日本建築学会建築倫理教材にも事例として載っています。今回の杭偽装事件の検証が、犯人探しに終わらないで、建築生産の再構築に結びつくことを期待します。姉歯事件の直後に建築学会が発表した「健全な設計・生産システム構築のための提言」が、その中で、「建築主意図の文書(ブリーフ)による表明 (3) 建築主が設計・生産者に対して社会の利益に反するような要求を行う場合、これを文書などであからさまに するとは思われず、むしろ口頭や様々な暗黙的示唆により行うと想像される。いいかえれば、口頭や以心伝 心で意思疎通が行われる日本の設計・生産の慣行が、公益意識の低い建築主による社会利益に反する要求が 発生する際の温床になっていると考えられる。 (4) そこで本会は、設計発注契約において、建築主の建築意図、要求する建築の内容を文書化し設計者に明示す ることを、社会一般、建築主に向けて提案するとともに、ブリーフの作成方法などについて本会が蓄積して きた知見を社会に向けて開示する。」としたことを思い出します。故巽和夫先生が座長を務めて北川大臣に提出された「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会報告書」が、「本調査報告の提言を踏まえ、国土交通大臣の強いリーダーシップの下で、当面の課題について早急に各般の施策に着手する一方、中・長期的課題は斬新な構想を練り、政策化を進めるよう期待したい。と締めくくったことも再度、噛み締めたいです。

返信

このフィールドの内容は非公開にされ、公表されることはありません。
  • ウェブページアドレスとメールアドレスは、自動的にハイパーリンクに変換されます。
  • 使用できるHTMLタグ: <a> <em> <strong> <cite> <code> <ul> <ol> <li> <dl> <dt> <dd> <span> <p> <br> <img> <iframe> <object>
  • 行と段落は自動的に折り返されます。

書式オプションに関するより詳しい情報...

CAPTCHA
自動入力による荒らしやスパムを防止するための質問です。
イメージ CAPTCHA
画像に表示されている文字を入力して下さい。

コメントは事務局による承認の後に掲載されます。

最近のコメント

«  
  »
1
 
2
 
3
 
4
 
5
 
6
 
7
 
8
 
9
 
10
 
11
 
12
 
13
 
14
 
15
 
16
 
17
 
18
 
19
 
20
 
21
 
22
 
23
 
24
 
25
 
26
 
27
 
28
 
29
 
30
 
31
 
 
 
 
 

アーカイヴ

リンク

大阪弁護士会 総合法律相談センター
rss2.gif