人と人をつなぐ「分身ロボット」
11月22日,マイドーム大阪で開催された「OSAKAビジネスフェアものづくり展」に大阪弁護士会「中小企業支援センター」が出展者として参加しました。
今回は,大阪弁護士会知的財産委員会(中小企業支援センターと連携して知的財産権がらみのイベントに協力しています)の広報担当として,出展の様子等について当ブログでお伝えしようかと思っていたのですが,ステージで行われた吉藤オリィさんの特別講演の内容があまりにも素晴らしかったので,そのことについて書くことにしました(中小企業支援センターの皆さん,ごめんなさい!)。
吉藤オリィさんが代表取締役所長を務める株式会社オリィ研究所では,何らかの理由によって体が不自由になった人が社会の人と繋がることができなくなる孤独感を解消するための「分身ロボット」の研究,製品化等が行われている。
講演前,講演会場の入り口には「吉藤オリィ氏が昨日緊急入院したため,プログラムが変更になる」旨の張り紙があり,壇上には「分身ロボット」OriHimeがポツンと置かれ,「講演は急遽オリィ研究所の営業の方に代役をしてもらうことになりましたがご了承下さい」旨の申し訳なさそうなアナウンスも流れていた。「えぇっ!?楽しみにしていたのにな・・・」と思いながら始まるのを待っていたのだが,このことが,まるで仕組まれたシナリオであったかのような講演内容だった。
というのは,OriHimeは,病院で寝たきりになった患者さん等が,病院の外にいる人たちと遠隔操作によってコミュニケーションを取ることのできるロボットであり,営業の方のサポートは受けつつも,オリィさんがまるで会場に来ているかのような存在感を出すことができていたのである(気管支を悪くされていたようで,時折咳き込んでおられましたので相当無理はしていたようですが・・・)。
講演では,このブログでは書ききれないほどたくさんの感動的な話がありました。
「大切な人たちとともに大事な瞬間に立ち会うためには,その場に自分の肉体が存在していなければいけないのか?」
OriHimeを使えば,その場にいなくても,自分の「存在感」を(100%ではないとしても)遠隔地の相手に届けることができる。体が不自由でも,心が自由なら,ロボティクスの力を借りて社会と繋がることができる。人間の「存在」とは何なのかを考えさせられました。
「生きる意味は人と繋がることで生まれる。」
4歳のときに交通事故に遭って脊椎を損傷して人工呼吸器での生活を余儀なくされ,人生のほとんどの時間を病院で寝たきりで過ごすことになったが,OriHimeの力を借りてオリィさんのスケジュール管理等の仕事をし,オリィさんと共に講演会に参加してきた番田雄太さんの話(残念ながらお亡くなりになったとのことです)は来場者の心を打つものでした(私の隣に座っていた方の涙腺は崩壊していました)。
「豊かさとは何か。自分は死ぬまでに何ができるのか。」
OriHimeはユーザーの意見を取り入れながら改良を重ねて進化し,OriHime eyeは眼球の動きだけで操作ができるようです。ALS(筋委縮性側索硬化症:筋肉を動かす神経が麻痺していく難病で,「クイズダービー」の篠沢秀夫教授が罹患していたことでも話題になりました。)を発症して眼球しか動かせなくなっても,OriHimeの力を借りれば何かができる。絵を描くこともできる。
年間70~80人のALS患者の方々と会い,孤独を解消するための活動等をしているというオリィさんの話を聞いて,私も公益活動等を通じ,死ぬまでに少しでも社会に貢献できるよう頑張りたいと感じました。