10年の節目を迎えるにあたって
あと1ヶ月ほどで弁護士になって丸10年の節目を迎えることになる。
ついこの間ひまわりのバッジをもらったばかりのような気がするのだが,弁護士になったのが25歳で,今はもう35歳なのだから,10年の月日が流れたというのは紛れもない事実なのだろう。
ただ,10年前に弁護士になったときは,10年後の自分の成長する姿に少なからず期待を寄せていたのだが,あれから10年が経った今の自分の姿は,残念ながら全くの期待外れであった。
10年前の自分と今の自分を比較したとき,変わったと実感できるは体重とウエストサイズと図々しさぐらいのもので,弁護士としての成長を実感できることは恥ずかしながら何もないというのが正直なところである。
つい先日も,司法研修所卒業10周年記念ということで,司法修習の同期生だった裁判官,検事,弁護士などが500人ほど集まって旧交を温める機会があったのだが,そこでほぼ10年ぶりに顔を合わせたとある女性弁護士から,福岡訛りで
あんたは10年前と全然変わらんとね~
と言われてしまった。
この一言が,この10年でいかに自分が成長していないかを如実に物語っているといえるだろう。
そんな私だが,唯一誇っていいと思えるのは,弁護士の仕事を10年続けできて,これまで一度もこの仕事にストレスを感じたり嫌気がさしたりしたことがないということである。
私は,これまで倒産処理案件に携わることが比較的多かったのだが,倒産処理は弁護士になる前から非常に興味を持っていた分野で,弁護士になってからもこうした興味のある分野の事件を比較的数多く手がける機会に恵まれたというのが,この仕事にストレスを感じたり嫌気がさしたりすることがない最大の理由なのかもしれない。
ただ,理由はきっとそれだけではないはずで,結局私にはこの仕事が向いているということなのだろう。
この時代に,自分にとって向いていると思える仕事ができるというのは本当に幸せなことだと思うし,そのような環境にあることに感謝しなければいけないだろう。
残念ながら,この10年では自分が期待したほどに弁護士として成長することはできなかったが,これからも初心を忘れず,自分に向いていると思える仕事ができる環境にあることに感謝しながら,これからも日々仕事に励んでいきたいと思う。
そして,できることなら,10年後にはもう少し成長を実感できるようになっていたいものである。