給費制みたび
中井でございます。
過去に何度か、
司法修習生に給費制について書かせていただいたのですが、
また書かせてもらいます。
http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/25/entry/322
http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/25/entry/591
11月26日に、
貸与制を1年間延長する改正裁判所法が成立しました。
これにより、
12月から修習が始まった新64期司法修習生の皆さんは、
いままでの修習生と同じように
お給料をいただきながら修習をすることができるようになりました。
実際に貸与制が導入されてから給費制へ戻るまでの間に
貸与制導入前には予想もしていなかった問題がいくつも出てきました。
例えば、修習地は自由に決められるわけではなく、
指定された所になるのですが、その引っ越し費用は出ません。
修習地で部屋を借りようとしても、
収入がない(貸与)ので借りられない。
(このあたりは、収入のある親名義で借りた人が多いようようです。)
修習地が実家から遠く、給与もない、部屋も借りにくいということで
修習地が決まってから修習を取りやめた人もいるそうです。
そもそも、
修習へ行くのをあきらめた人もいました。
今回の延長で救われた人もいますが、
貸与だからと修習を断念した人たちは、
救済されないようです。
かなりかわいそうな気がします。
この給費制の問題は、
法曹人口を増やすかどうかと密接に関係しており、
法曹人口を増やすかどうかは、
日本の司法制度をどのようにデザインしていくのかと密接に関係しており、
司法制度をどのようにデザインしていくのかは、
日本全体をどのようにデザインしていくのかと密接に関係していると
私は思っています。
裁判官や検察官、弁護士といった人たちが、
皆さんの人生、生活において
どういう役割を果たしているのか、
どのように役立っているのか、
どんなメリットがあるのか。
もし、「何の役にも立たない」
というのであれば、
そんな人たちを育てるのに税金を使う必要はないと思います。
でも。
もし、少しでも「何らかの役に立っている」と思っていただけるのであれば、
司法制度のデザインを含めて、
どうするのがみんなの幸せに繋がるのか。
すこし、考えてみませんか。
給費制の問題は、
まだまだ終わっていません。
こらからも議論を続けていこうと思います。