2010年12月25日 (土)

法曹人口問題について

 ここのところ、業界とは無関係の話を書いていたので、久し振りに業界の話を書いてみようと思います。あくまでも私の偏見としてお聞き下さい。

 

 先日、大阪弁護士会にて日弁連法曹人口政策会議の報告及び意見交換会が開かれました。

 私は政策会議からは外れましたが、宮崎前会長の時に法曹人口問題検討会議に委員として参加してましたので、興味を持って出席させていただきました。

 当日、委員の方の報告を聞き、色々な方の意見をお聞きしましたが、いくつか疑問が残りました。

 

1 まず、政策会議が何のために設けられているのかがはっきりしません。

 

 私が参加した法曹人口問題ワーキンググループ及びその後身の法曹人口問題検討会議は、それぞれ法曹人口問題に関する宮崎前会長の選挙公約を実現するための組織という位置づけがはっきりしていました。

 宇都宮会長は合格者年1500人を公約にされましたが、政策会議がこの公約を実現するための組織と位置づけられていないように思えます。

 であれば、何を獲得目標として議論をしているのでしょうか。

 

2 中間とりまとめ案というものを見ましたが、何のためにこれを出すのかがよく分かりません。

 

 中間とりまとめ案の理由づけは、法曹人口問題検討会議が2009年3月に出した「当面の法曹人口のあり方に関する提言」とほとんど変わりません。結論が現状維持から合格者減に変わっただけです。   

 これでは、なぜ現状維持ではなく合格者を減少させなければならないかが社会に伝わらないと思います。

 合格者を減少させる理由が社会に伝わらなければ、業界のエゴとして片付けられ、社会から一蹴されるだけです。

 

3 相変わらず建設的な議論にならない。

 

 「(司法制度改革を受け入れた)過去を反省せよ」とか「会員の意見を反映していない」とか「国民は分かってくれるはずだ」とか「マスコミを相手にするな」とか勇ましい意見が出ていました。

 過去を反省して合格者が減るならこんな楽なことはありません。

 会員の意見を反映した主張がすんなりと社会に受け入れられるなら、検討会議や政策会議なんて必要ありません。

 国民が自分達と同レベルで物事を考えてくれると思うのは、弁護士の陥る初歩的な過ちの1つではないですか。 

 いかに国民がマスコミの影響下に置かれているかは海老蔵事件の報道を見ても明らかでしょう。

 

 法曹人口「政策」会議という名称を聞いたときに、「政策」すなわち、どのようにして合格者減を実現するのかの方策を検討しているのだと思っていました。どのようにしたら国民に理解してもらえるか。どうすればマスコミの論調を変えることができるのか。もっといえば、どうすれば政府や議員を動かすことができるのか。を議論しているのだと思ってました。

 でも実際には「会員全員にアンケートをすべきか」など、それ以前の議論しかしていないようです。

 

 しかし、今回、何よりも私が問題だと思うのは、政策会議委員の坂野弁護士がご自身のブログでも報告されていたように、若手の参加数が極めて少なかったことです。

 50期代以降の出席者は数えるほどしかいませんでした。告知が遅かったこともあるかもしれませんが、法曹人口は自分たちの将来に大きな影響がある事柄です。自分自身のこととして、もう少し興味を持ってもらいたいと思います。

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