林裕悟です。

みなさん,既に新聞報道等でご存知かもしれませんが,過労死等防止防止対策推進法(通称「過労死防止法」)が平成26年11月1日に施行されました。

今日は,この新しい法律について,少しだけお話しさせていただきます。

 

この過労死防止法,実は大阪の弁護士が言いだしっぺなんです。

大阪の過労死遺族とともに,大阪の数名の弁護士が業務の合間を縫って法案を起草しました。

このとき,自分たちが起草した法案が本当に法律として成立するとはだれ一人思っていませんでした。

ただ,いつまでたっても減らない過労死,新たに生み出される過労死遺族たちの苦しみと悲しみを目の当たりにして,居ても立っても居られない思いに駆られて,行動を起こさずにはいられませんでした。

 

歴史的に見ても,過労死問題について,大阪は先進的に取り組んできました。

まだ過労死という言葉すらない1981年に「大阪急性死等労災認定連絡会」を結成し,過労死についての組織的な取り組みをスタートしました。

1988年4月には全国に先駆けて「過労死110番」を開催しました。

過労死について認定基準が緩和され,救済が進んだ1990年代においても,先進的な取り組みを続けてきました。

 

そして,今回の過労死防止基本法も大阪から誕生したのです。

過労死の遺族と一部の弁護士たちの願いが大きなうねりとなり,最終的には衆参両院での全会一致による法案可決というゴールにつながっていったのです。

 

このたび施行された過労死基本法は,私たちの法案をベースにしています。

そして,今月から,現実にこの法律が施行されています。

 

この過労死防止基本法は,国が過労死の実態を調査し,防止策などを研究すること,過労死防止の重要性を啓発すること,相談体制を整備することをうたっています。

が,実際に何をどのように調査し,研究するのか,どうやって啓発していくのか,整備する相談体制の中身などはまだ何も決まっていません。

どれだけ実効性のある制度になるかは,まさにこれからにかかっているのです。

 

過労死防止基本法は,第1条において,「過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失である」と高らかにうたっています。

過労死は,最も勤勉で,最も優秀で,最も将来を嘱望された有為な人材を社会から奪います。

働き盛りで家族にとって最も必要とされる時期に,家庭のもとを離れていきます。

そしてなにより,家族を愛し,会社を思い,大いなる希望と夢を抱いたご本人の未来を奪います。

 

過労死のない社会を目指す道のりは,いまがスタートラインです。

活動

林先生、ありがとうございます!
この活動に携わるようになったきっかけはどのようなものでしょう?また教えてください!

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