新たにブログ担当者となりました,辻岡信也です。もともと建築士なので,弁護士になってからも土木や建築関係の事件をよく扱っています。委員会では都市環境問題や歴史的建造物の保存活動に取り組んでいます。

 

さて,建築関係のニュースでしばらく前から世間を騒がせているのが免震ゴムのデータ偽装問題です。官公庁,病院からマンションといった様々な建物で件の免震ゴムが使用されているようで,特に該当マンションにお住まいの方は大きな不安を抱えておられることと思います。

 

この事件の中身には,メーカーによる大臣認定(国土交通大臣による安全性のお墨付きみたいなもの)の不正取得と,規準外製品の出荷という二つの行為があります。メーカーの責任の評価は今後の調査結果を待つ必要がありますが,いずれにせよ,どちらも許されない行為であり,第一に責任を負うべきはメーカーです。今回の事件は、最悪の場合でも免震ゴムの交換により補修が可能ですし、メーカー自身が適切な対応を行う旨を表明していますので、今後問題の収束が期待されます。

メーカーがどの範囲で補修や補償をすべきなのかについては難しい判断となりますが(ここが我々の専門です),メーカーとしては、何を目的として対応を行うかを意識する必要があります。単に法的義務を果たすためなのか、信用回復のためなのか、あるいはまたこの事件をバネにさらなる信用を得るためなのか等、その目的により適切な対応の内容は異なります。目的達成のため、適切な経営判断が必要です。

 

建物に欠陥が見つかった場合、被害者が常に救済されるかというと、実は救済されるとは限りません。

かつて世間を騒がせたA建築士による耐震偽装事件では,A建築士をはじめ,責任を負うべき者達に損害を賠償するだけの資力がありませんでした。そこで,確認申請や完了検査を通した行政に対する賠償請求訴訟が行われましたが,裁判所は行政の責任を否定しました。結局,一部の良心的な不動産業者に救われた場合を除き,多くの被害者が損害の填補を受けられなかったのです。

 

家やマンションは,多くの方にとって,人生最大の買い物です。それゆえ注意深く物件選びをする必要がありますが,それにも限界があります。今回のような免震ゴムの不良などは,専門家であっても購入時に見抜くことは不可能です。さらに,万が一の際に補償する資力が業者に無いこともよくあります。わくわくするマイホーム購入は,一面でとても大きなリスクなのです。
このリスクを回避する手段は,現時点では保険のみです。現在の新築物件では原則として住宅瑕疵担保責任保険という保険に加入することが義務付けられています。この保険に加入している物件であれば,万が一の際にも業者に代わって保険会社が補償してくれます。新築物件購入時には,この保険に加入している物件なのかをしっかり確認してくださいね。

弾力的な対応が望まれますね。

なるほど,メーカー側の対応が引き続き注目されますね。
新築物件購入時には保険が要チェックなのですね!

辻岡先生の記事の中で,コムとバネを掛ているところにも一興です!(ひろいました!)

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