平成28年12月16日判決について

 

 普通乗用自動車を運転していたAさんが赤信号を無視したとして起訴された事案で,1審裁判所は9000円の罰金刑を言い渡しましたが,大阪高等裁判所では,公訴棄却の判決を言い渡しました。

 判決が認定した事実は概ね次のとおりです。

 

  Aさんは,赤信号無視を見ていた警察官からその指摘を受けたが,黄色信号だったとして違反の事実を認めず,対面信号が赤信号であったことを示す車載カメラの映像を見せて欲しいと求めたが,警察官からはそのようなものはないと拒否されたので,交通反則告知書の受領を拒んだ。その後,検察官の取調べにおいて車載カメラの映像を見ることができて事実関係を認め,交通反則通告制度の適用を希望したが,起訴されてしまった。

 交通反則告知書とは,“反則切符”とか“青切符”などと呼ばれる書類のことです。道路交通法130条は,反則金納付の通告をしないと起訴できないとしていますが,交通反則告知書の受領を拒むなどした場合は起訴できると定めています。

どうも初めまして、弁護士の中原修と申します。

 

私の興味のある分野からお話しさせていただきます。

 

大阪ダルクの支援を長年させてもらっており、覚せい剤等薬物の依存症の問題にも取り組んだり、覚せい剤取締法違反等の薬物の刑事事件も担当してきました。

 

この度、平成28年6月1日付け「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」が施行されました。これは、近年、薬物使用等の罪を犯した者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することにより、薬物使用等の罪を犯した者が再び犯罪をすることを防ぐため、これらの者に対する刑の一部の執行を猶予する制度とされています。

 

具体的には、大阪地方裁判所での覚せい剤取締法違反事件で「懲役1年4月、うち4月を2年間の保護観察付執行猶予(求刑:懲役2年)」というように言い渡されています。この制度は、再犯防止が目的であり、そのため従来、実刑を言い渡す際に、仮釈放が認められなければ、満期前に出所できないところを、早めに出所を認めて出所後に保護観察所と連携しようとするものです。

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