2018年9月5日 (水)

弁護士倫理

 初めまして、弁護士の田中和也と申します。

 私は、大阪弁護士会の弁護士倫理委員会に所属しています。

 弁護士倫理とは、弁護士が守るべき倫理のことです。それを具体化したものとして、「弁護士職務基本規程」というものが定められています。

 弁護士倫理委員会の活動は、弁護士に対する弁護士倫理の啓発で、具体的には弁護士が受講する弁護士倫理研修の企画と実行をメインに行っています。

 このように、弁護士倫理委員会の活動は、非常に内向きなものであり、これまでは市民の方々に向けて発信するような活動は行ってきませんでした。

 しかし、弁護士に相談したり依頼したりする方々に適切な法的サービスを提供するために弁護士倫理が求められているという側面もあるので、市民の方々にも知っておいて頂いた方がよいこともあるかと思います。

 そこで、今回は、そのようなもののうち2つばかりをご紹介したいと思います。いずれも、弁護士が依頼者から事件を受任する際のものです。

 

1 受任の際の説明

 弁護士は、事件を受任するにあたり、依頼者に対して適切な説明をすべきです。

 説明の内容としては、最低限

・事件の見通し

・処理の方法

・弁護士報酬及び費用

が含まれます。

 但し、事件の見通しは、予測が困難なことが少なくないので、弁護士は、依頼者から得た情報に基づき、可能な範囲で、できる限り適切な説明をすれば足ります。

 なお、債務整理事件に関しては、弁護士が依頼者と自ら直接面談すること、並びに弁護士自身が事件処理方針等及び不利益事項の説明を行うことが義務づけられています。

 

2 委任契約書の作成

 事件を受任するにあたり委任契約書を作成することは、受任の範囲や弁護士報酬等をめぐる依頼者とのトラブルを未然に防止するために極めて有効・有益なので、例外的な場合を除き、委任契約書の作成義務があります。

 合理的理由があれば委任契約書を作成する必要はありませんが、契約書を作成しなかったことについては、弁護士の側でその合理的な理由を十分説明できなければなりません。

 委任契約書の記載事項としては、最低限

・受任する法律事務の表示及び範囲

・弁護士の報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期

・委任契約が委任事務の終了に至るまで解除ができる旨及び委任契約が中途で終了した場合の清算方法

が必要です。

 また、実費の清算方法や、預り金の預託を受ける場合にはその処理についても記載することが望ましいです。

 

 以上です。

 もし、あなたの依頼した弁護士が、受任の際の説明をしていなければ、遠慮せずに説明を求めてください。また、委任契約書を作成していなければ、作成するように求めてください(作成しない場合は、その理由の説明を求めてください。)。

弁護士倫理

依頼者の方との信頼関係を築く観点からも当然必要になるもので、弁護士倫理はあらゆる場面で重要だと実感することが多いです。

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