2011年6月21日 (火)

靴の話

前回は「スーツの話」をしました。
そこでも書きましたが、今回は「靴の話」です
(例によってきわめてマニアックな内容ですので覚悟して読んでください。)。

 

靴といってもいろいろありますが、ここではスーツと共に弁護士の戦闘服の一部であるビジネスシューズの話をします。
さらにいうと、ビジネスシューズというのは、革靴、すべて革(普通はソールもオールレザー)の靴の話です(ゴム底の靴はあくまで雨の日の非常用)。

かなりおおざっぱに分類しますが、靴にはイギリス靴とイタリア靴に分けられます。


イギリスの靴は、代表的なものとしては靴の王者ジョンロブやクロケット&ジョーンズ、エドワードグリーンなどが有名です。
イタリアの靴は、代表的なものとしてはサントーニやア・テストーニ、ステファノブランキーニなどがあります。

 

イギリス靴の特徴は、端的に言えば質実剛健、正当派(オーセンティック)、王道です。
グッドイヤーウェルト製法に代表されるような比較的堅牢な製法で作られ、手入れをしていればずっと履き続けられるような作りになっています。
デザインもまさに王道のものが多く、ラスト(木型)もオーソドックスなものが多いように思います。

これに対しイタリア靴は、一言で言えばデザイン重視、エレガンス、モードといった感じです。
マッケイ製法で作られることが多く、どちらかというと耐久性よりもデザイン重視といった傾向があるように思います。
デザインもトゥー(つま先)がとがったものなどが多く、スーツ同様細身のものが多いです。
イタリアではあまり黒靴は履かれないので(儀式のときなどのみ)茶靴が多いのも特徴かもしれません。

 

しかし、最近ではイギリス靴でもデザインを凝ったものも多いですし、イタリア靴でもマッケイ製法のように薄い靴底でグッドイアーウェルトなどで作られていて耐久性と両立させているようなものも多いです。さらにイギリスやイタリア以外でもベルルッティやコルテなどフランス靴もいいものがいろいろあります。

日本でも若手の職人さんによるビスポーク(オーダーメード靴)の工房などがいくつかできてきているようですし、既製靴でもコストパフォーマンスが高いものが最近は多くなってきています。

 

イギリス靴かイタリア靴かははっきりいって好みの問題が多いと思います。
一般的に、スーツでイギリス系の正当派を好まれる方は靴もイギリス系、スーツがイタリア系などの細身でモードな感じが好みなら靴もイタリア系といった傾向になるでしょう。

 

どちらにしても、ある程度きちんとした靴はスーツ以上にそれなりの値段がします。
ヨーロッパなどの高級ホテルで、ベルボーイが客を判断するのに、スーツよりも靴を見ると言われているのも、靴にお金をかけてこだわっていれば本当のおしゃれでセレブだということがわかるからでしょう。


ただ、高い分、きちんと手入れをすれば長持ちします。
ジョンロブの靴は既製靴でも20万円以上しますが、20年以上履き続けているという人がたくさんいますので、そう考えるとそこまで高いといえないかもしれません。

手入れの方法は、普段は皮に栄養をあたえるためのクリームを塗るということを最低限やっているだけでずいぶん違うと思います。

そして、たまにきちんと汚れを落として、古いクリームもリムーバーではがした上で、きちんとクリームを塗り、さらにハイシャインをかけると本当に見違えるようにきれいになります。
この「靴の先を光らせる」という作業にはまってしまうと、かなりマニアックに週末は靴を磨き続けて,くつに顔をすりすりするという、周りからみれば気持ち悪い人になってしまうので注意が必要です。

 

弁護士もサービス業ですし、おしゃれは足下からなどともいいますので、今まで関心のなかった人にも、ちょっといい靴を履いてみて欲しいものです。

 

次回は、スーツ・靴に続いてのおしゃれポイント、腕時計について語りたいと思います。 

茶靴

日本製とイタリア製では、茶色がまったく違うように感じていましたが、イギリス製とイタリア製の違いがよくわかりました!

お奨めします

 自分に合ったいい靴にスポッと足を入れたときの感触って本当に感動ものですよね。
 前回書かれていたスーツも、いいスーツに袖を通した時の感触やオーダーしたスーツの体へのフィット感は、経験した者でないとわからないし、言葉では説明できないですよね。
 全部のスーツや靴をこれで揃えるのは大変ですけど、若手の弁護士の方にも、ここ一番という時のために(一張羅という言葉はもう死語でしょうか?)、いい靴を一足、オーダースーツを一着は持っておかれることをお奨めします。

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